第3話 学園入学【3】
目の前に広がるは…ただ一つの拳。
その拳を俺は、体を捻って避けた。
そして、渚を抱えて横に広がる湖に着地した。
そこで俺は言葉を零した。
「正直、賭けだったけど…この湖が純水で少し
助かった。」
と…。
そんな言葉と同時に俺は危惧していた。
自分の能力がバレてしまったのではないかと。
だが、そんな思考をする暇もなく、先程の男は
またも俺に狙いを定め、その拳を放って来た。
だが、ただ一つだけ違った…それは、今回の拳は近付かれていなかった…20mは離れた距離
から放たれた拳と言う事だった。
そんな思考に陥ってしまっていた次の瞬間、
俺達を途轍もない衝撃波が襲った。
「グッ…。」
と、言いながら俺は咄嗟に防御体制をとった。
…俺の視界が一瞬塞がれる、そして視界が
戻ったその時、目の前にあの男はおらず、
俺の背後で湖に立っていた。
そんな男に俺は振り返り…その言葉を紡ぐ。
「一体…何の真似だ。急に戦いを始めて…お前
生徒だろ?」
そんな俺の言葉にようやくその男は口を開き…言った。
「確かめたくなった、この学園にいる奴の実力
を…。それに…戦闘は禁止なんてそんな事、
誰も言ってなかったじゃないか…。」
それだけ言って、男は再び俺に向かってその拳を放った。
「渚…離れとけ。」
俺はそう言いながら渚を湖から少し離れた
道に放り投げた。
_______渚視点
…たった数分、2人が拳を放っただけで、湖の
周辺に生い茂っていた数百本の木が…殆どの数
薙ぎ倒されていた。
私にはそもそも何で湖の上に平気で立てているのかすらも知り得ない。あの2人は規格外…
ただ一つ、その事実だけが私の頭にあった。
拳が衝突する度に吹き飛ばされてしまいそうな
衝撃波が辺りに広がる。
雷華君が男性の拳を避けて、カウンター。
男性もそのカウンターに反応して雷華君が
突き出して来た腕を掴み、空中に投げ飛ばす。
空中に投げ飛ばした雷華君の後を追い、空中にいる雷華君の更に上空から男性が拳を雷華君の
顔に放とうとする…だけど雷華君はその拳が
自分に当たる前に体制を整えて自分の上空に
いる男性の腹部目掛けて蹴りを放ち…男性は更に上空に飛んでいく…!
2人の動きを見る事が私には精一杯すぎた…。
_______雷華視点
この男…かなり強い。拳だけの勝負は嫌いではない…そして苦手でもない、逆に自信すらも
ある…。それでもこの男は俺と同等の体術を
持っている…。
あまり…使いたくなかった、それでも今ここで
使わなければ俺が負ける…その可能性が1%でも
見えてしまう…なら俺は。
その思考を頭で巡らせたその瞬間、俺は一つの
行動を取っていた。
…学園に来て早々に、刀を抜く事になるなんて
思ってなかったよ…。
次の瞬間、俺は刀を鞘から勢いよく抜いた。
_______◯視点
目の前の男が突然、刀を抜いた。
卑怯だとかそう言う事じゃなく、俺は戦えればそれでいい…だから俺も能力を使って応戦
しようとした…その瞬間、目の前の男から俺が生きて来た中で感じた事のない、凄まじい殺気を感じた。
思わず後ずさる…、その男から距離を取る。
何かがヤバい、直感でそう感じたんだろう。
だけど…その直感を振り払い、俺は高らかに
叫んだ。
「こい!お前の殺気…全て呑み込んでやる!」
その瞬間、俺の背後に水で造られた巨大な何か
が現れるのだった。
_______雷華視点
「俺の全てを呑み込む…か、やってみろ。」
一言そう言って、俺は前傾姿勢になり…、湖を蹴った。
そして…目の前の男の背後に現れた何か事…
断ち切った。
そうして、刀を鞘に収めながら俺は言った。
「安心しろよ…お前は峰打ちだ。」
「情け…掛け、やがって…っ。」
そう言いながら倒れる男を支えて…次の瞬間、
水で造られた何かは俺が斬った箇所から破裂
して元の水に戻った。
そして…俺は心の底で思った事を口にした。
「強かったよ…俺が刀を抜く位にはな。」
と…。
実力至上主義の学園で最強を包み隠さず生活します カニ様 @kiruki
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