第6話ゲーム配信1

「みなさんこんばんは。今日は綺麗な星空ですね」


コメント

・きた!

・なぜこんばんはなんだ?さっき起きたばっかだぞ?

・もう夜だぞ

・今日は何の配信??


事務所での話し合いの次の日、真冬さんにおすすめされたゲームをやるために配信をつけた。デビュー配信の時は緊張しすぎて噛んだりしたけど、今日はゲーム配信だから気楽に行けそうだ!


「今日はゲーム配信をやります‼︎私の神プレイを期待しておいてください‼︎」


コメント

・ゲーム配信きたー!

・なんとなく神プレイじゃなくて紙プレイになる気がする

・何のゲーム?


「よくぞ聞いてくれました!今日やるゲームは『青鬼』というゲームです!マネージャーさんからはとりあえず館に連れて行かれるから脱出してねとしか言われていないので、どんな感じかわくわくします!ではやって行きましょう!」


コメント

・おー王道の青鬼

・結構前のゲームだよな。懐かしい

・初見は結構大変だったな〜

・綾華ちゃんテンション高くて可愛い

・どんな悲鳴が出るか楽しみ


一応真冬さんからは「館に肝試しに行って閉じ込められるので、そこから出るだけ!のゲームですよ」って言われている。それ以外何も情報がないからどんなゲームか楽しみだ。

……今なんかコメントに不穏なこと書いてあった気がするんだけど?


「このゲームのことマネージャーさんから聞いただけなので全くわからないんですけど、悲鳴をあげるような要素があるんですか?」


コメント

・安心してくれ、やったことあるが悲鳴をあげるような要素はなかったぞ

・大丈夫だ、問題ない

・謎解きが難しくて悲鳴が出ちゃうんだよ!

・そうそう!

・コメント欄が流石すぎるな…


「そうですか?まぁやってみたらわかることなので、早速始めて行きましょう!」


そう言って私はニューゲームを押した。名前を入力し終えると、主人公達が館に入っていくシーンになった。館に入ったあと、物音が聞こえる方に行くことになったところで操作が可能になった。


「ここって無人の館なんですよね?物音がするってことはもしかしてなんかいるってことですか?」


コメント

・きっとネズミが物音を立てただけだよ!

・古い館だからネズミの一匹や二匹いてもおかしくないよな!

・そうそう!

・一瞬でこの団結力すげぇな


確かに相当古い館みたいだからネズミがいてもおかしくないよね…?少しずつ不安になってきた……。そうしているうちに、物音がしたキッチンなどがある部屋についた。


「物音がしたのはこの部屋のはずですが……。あ、さっきの音はこのお皿が落ちて割れた音っぽいですね。原因不明とかじゃなくて安心しました。さて、物音の原因もわかったことですし、みんなのところに戻りましょう!」


私は割れたお皿を回収し、最初にみんながいた玄関に向かったのだが……


「……みんないないんですけど」


見事誰もいなくなっていた。


「せっかく私1人で確認行ったのになんで誰もいないんですか?物音がしたから確認に行かされて、帰ってきたら誰もいないって一種の嫌がらせですか?出るとこ出ますよ、涙とか」


コメント

・訴えるとかの意味かと思ったら涙なの草

・実際やられたら泣く自信ある。肝試し行く友達いないけど

・そのコメントで泣いたわ

・悲しいなぁ


玄関の鍵もいつのまにか掛かっているので、外に出るには玄関の鍵を探しながらみんなのことも探さなきゃいけないらしい。このめっちゃ広い館を1人で探索しなきゃいけないのか……闇雲に走り回っても仕方がないので、とりあえずさっき行った部屋の反対側に行くことにした。


「あれ?今この部屋に人影が見えたんですけど、鍵がかかっていて入れないですね……。中に誰かいるっぽいので入りたいんですけど……」


中にはぐれた他の3人のうち1人でもいたら一緒に行動できるのでだいぶ心が楽になる。ドアをガチャガチャしたら開いてくれないかな?


「鍵がかかっていた部屋は鍵が必要っていうテキストが出てたので、入れる気がするんですけどね……ドアガチャガチャしたら入れないかな?とりあえずやってみよう!」


コメント

・テキストで気付くのはすごい

・その部屋って確か…

・この展開一期生もなってたww

・あっ(察し)

・どんな反応するかな


そうして、ドアに向かったクリックを連打したら部屋の中に入れた。というか部屋の中から出てきた手のようなものに引きずり込まれた。そして数秒後に扉にトマトケチャップが飛び散った。画面に出てきたのは『GAME OVER』の文字。


「…………」


コメント

・固まったwww

・肝試しで来た館、何も起こらないわけがなく

・まだ最序盤なのにww

・おーい大丈夫ー?


「……もしかしてこのゲームってホラゲーですか?」


コメント

・あ、動いた

・そうだよ


「綾華、配信終了の準備をしろ。わかりました!」


コメント

・wwwww

・自分に対して戦力外通告しないでください

・まだ追いかけられてないのにwww

・ホラゲーもしかして苦手?

・もうちょっとだけ続けてみよ?ね?


うぅ、ただ謎解き脱出系かと思ったのに、謎解きホラーだったんだ……ホラーが苦手すぎてホラゲーから避けて生きて来たのに初めてのゲーム配信がホラゲーになっちゃった……。

配信終了の準備をしろとは言ったけど、流石にこんな早いタイミングで辞めるのはダメだよね‼︎私もVtuberなんだ‼︎


「ホラゲーというかホラーが苦手ですね……いや、ここで逃げちゃダメですよね!私もRe:Live!の二期生なんです‼︎絶対にクリアしてみせます‼︎」


コメント

・よう言うた!それでこそRe:Live!や!

・急にスポ根アニメの主人公みたいになった

・感動したけどまだチュートリアルみたいな場所なんだよなぁ


……え?まだチュートリアル?


「まぁ、はい、頑張って進みましょうか……」


そう言って私はコンティニューボタンを押した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る