(第13章)  風呂屋で座談会

広々とした脱衣所だが、寒さを感じなかった。

ふと、片隅に目をやるとストーブではなく、昔ながらの火鉢が二つ用意されていた。なんと、まぁ、昭和チックというか、今どき使ってる家庭は少ないだろう。まだ真冬ではないが、湯冷めしなくて済みそうだ。

僕の視線に気づいて、ご主人が「ここにふさわしいと思いまして。納戸から引っ張り出してきました。そうそう、餅もあるので焼きましょうかね」と、いったん、奥に引っ込んだ。

桃先生が火鉢の傍まで行って、「へぇ~」と珍しがっている。

しばらくして、ご主人が餅の入ったカゴと餅焼き用の網を抱えて戻ってきた。

「わしが、餅の番をしてますんで、みなさん、どうぞ話を進めてください」と、火鉢に餅を並べ始めた。

「一番年上ということで、私が進行役を務めさせていただきましょうか。進行役っていうのも仰々しいかしらんね。せっかく集まったんですから、銭湯繋がりの交流の場になればいいですねぇ。名前とブログは、みなさん紹介されたと思うので、まぁ、日頃のうっぷんや、聞いてもらいたいことなど、話したい人から話すっていうことでどうでしょう」

保奈美さんが、進行役もどき?に名乗りをあげた。みんな、顔を見合わせた後、頷いたが手をあげる人はいなかった。

保奈美さんは「では、私から……」と言って、自分のことを話し始めた。

「私は、六~七年ほど前に大病をしましてね。それまでの生活が一変しました。主人は、その二年前に亡くしていましたので、娘夫婦には世話をかけました。幸い、普段の生活には戻れたのですが、生きる張り合いみたいなものをなくしてしまいました。けれど、普通に暮らせることの歓びに気づいて、ブログを始めました。最初は、日々のことを綴り、それで満足していたのですが、今は、主人のやり残したことといいますか……。いえ、それは……」

保奈美さんが、急に言葉を濁した。

自分から話すと言いつつ、何か違和感を感じた僕は「途中ですみません。保奈美さんとお呼びしていいでしょうか。ブログを読ませていただいてたんですが、最近の保奈美さん、とても生きることに前向きで、これから何かをされるのかと思いました。もしかして、その、ご主人のやり残したことに関係しているのでしょうか?」と聞いてみた。

「よくお読みになっていただいてたのね。ええ、まぁ、主人の仕事といいますか、若い頃からのお役目とでもいうのでしょうか。すみません。今日は、これくらいしかお話しできませんけど……。話したかったことは、今の充実した生活のことなんです。毎日、散歩する時に見る季節ごとのお花、天気によって変わる見慣れた風景。病気をしたからこそ分かる、生かされていることへの感謝の気持ちです。お野菜ひとつひとつに自然を感じて、お魚やお肉、命そのものをいただいているありがたさを感じるんですよ。この歳だからこそ味わえることもあるんですね。私の話は、これくらいにして、次の方どうぞ」と、周りを見渡した。

なんか、はぐらかされたような気もしたけど、初対面だから、こんなものなのかな。

すると、「では、わいが次に話しますわ」と、天作さんが手をあげた。

「芸人目指してたわりには、人前で話すちゅうことが苦手なんですけどな。そやさかい、挫折したんでしょうなぁ。今日は、なんや、自分の内側から後押しされているような感じで、話しとうなりましたわ。大阪にいた頃は、ほんでも楽しかったですわ。売れない仲間同士、つるんで遊んでましたからなぁ。若いちゅうだけで、将来はビッグになるんや!と、なんや希望に溢れてて。朝まで酒を飲んだり、金がのうなれば、先輩の家に押しかけ、長居して叱られたりもしましたな。そんなことも今は思い出ですわ。けど、厳しい世界で、昨日まで一緒にバカやってた奴が、急にテレビに出てたり、売れたりすることもありますんや。悔しゅうて、わいも頑張ろう思うて力んでみても、あかんかった。結局、わいは芸人には向いてへんかったんですわ」

天作さんは話しながら、少しずつうなだれていった。

「段々と仲間も減っていき、最後は、一緒に住んでた水野くんだけが友達になってしまいましたわ。ええ奴で、いつもわいの話を黙って聞いてくれてましてなぁ。そんな水野くんも、ある夏の日に、突然、死んでしもうて。わいは頑張る気力も失いましたわ。毎日、安い酒で気を紛らわせるようになって……。とうとう酒を買う金ものうなり、芸人になる夢をあきらめて、大阪を引き払ったちゅうことです。すんませんな、いきなり寂しい話で……」

天作さんは、亡くなった友のことを思い出したのか、最後の方は涙声になっていた。

「そうなんですね。水野くんというお友達も残念だったでしょうね。彼も、芸人を目指されていたんですか?」

桃先生も涙ぐんでいる。

「そうですなぁ。彼も残念やったと思います。きっと、わいが芸人になるのを楽しみにしてたはずやさかい。水野くんは、芸人にはなれしまへんのや。ハムスターやさかいに……。ハムスターの中では、オモロイ奴やったのかもしれまへんけどな。愛嬌のあるしぐさをしとりましたから。なんせ、一匹しか養えへんかったんで、相方もおらんと、気の毒なことしましたわ」

えっ? ハムスター? 

僕は絶句した。てっきり人間の友達だと思い込んでいたから。たぶん、みんなも……。

すると、突然ロンが話に入ってきた。

(そうや。実はなぁ、水野くんいうのは、わいがハムスターだった時に出会った仲間なんや。わいは、人間に生まれ変わったり、今世は犬やけど、彼は何代にも渡り、ハムスターを全うしてるんや。わいがハムスターのハムちゃんだった時代も、ようしてもろうたわ。で、今世、友達だった天ちゃんを助けてほしくて、わいを呼んだんやろな。で、こういうことになってるわけや。納得したか?)

納得したか?って、できるわけないだろう。そういやぁ、前にハムスターだった過去世があると言ってたなぁ。

シーンと静まりかえった脱衣所に、いきなり笑い声が響いた。

「アハハ……。ごめんなさい! でも、おかしくて。お気の毒だとは思うわよ。思うんだけど……。ホント、ごめんなさい。水野くんって、人間の友達なのかと思って聞いてたら……。天作さんだっけ。あなたさぁ、面白いことを言おうとしたからダメだったんじゃない。普通に普通の話をした方が、よっぽど笑ってもらえるよ。あっ、水野くんのことはご愁傷様。きっと、天国で心配してるわよ。それで、東京に戻って、今は何をしてるの?」

ダークヒロインは、笑いが納まらないままに聞いた。

「そない笑うてもらったのは、久しぶりでんな。水野くんも、草葉の陰で喜んでくれてますわ。確かに、オモロイことを言おう言おう思うと、緊張して言葉が出てきやしませんでした。今は、大手スーパーの荷物運びをしてます。体力的には、けっこうキツイんですけど、あまり人と話さなくてもいいんで楽ですわ。おかしなもんで、芸人やめたら人と話すのもおっくうになってしもうて。ほんでも、この前までは、婚活に励んでたんですけどな。頑張れば頑張るほど、虚しゅうなってしもうて。みなさん、なんであんなに簡単に彼女さんができたり、嫁さんもろうたりできるんでしょうなぁ。まっ、それも糖尿病を発症したのを機にやめましたわ。一人で生きるので精一杯ですわ。ほんま、わいの人生、挫折だらけですなぁ」

天作さんは、完全にしょんぼりしてしまった。

「ごめん、ごめん、そんな落ち込ませること聞いちゃって。私だって、虚しいことだらけよ。ブログを読んでくれた人は知ってるかもしれないけど、ネガティブなこと満載で書いてるから。SNSって、ポジティブなこと書いて、楽しそうな写真を乗っけて、みんなから『いいね』って押してもらうのが嬉しいみたいじゃない。なんか、それに反発してみたくなっちゃって。それに、ネガティブなことを口に出すこともできず、自分に負けちゃう人だって世の中にはいると思うの。で、代弁のつもりで、誰かの思いを発信してたってわけ。私のことは、それは……。私ね、そうそう人を信じられるタイプじゃないの。悪いけど、ここで自分のことを話す気にはならないわ。とにかく、天作さん、あなただけが幸せになれないっていうわけじゃないから、安心しなさい。生きてりゃあ、その内いいこともあるわよ」

なぐさめている風でもなく、ごく自然にダークヒロインは言った。

すると、黙ってオレンジジュースを飲んでいた桃先生が、座談会に参加してきた。

「私も、自分のことを話す勇気はないけど、ブログって、知らない内に情報が広がってしまうから怖いなと思ったわ。でも……知らない人から、個人メールで温かい励ましをもらった時は嬉しかった。私、職場で頑張ってることがあるんです。だけど、自分にできることには限界があるし、自分は可愛いから、仕事を失うことにはなりたくないの。今、そんなジレンマを抱えて、悩んでるんです」

童顔の彼女の表情が少し曇った。虐待のことだろうなぁ。彼女なりに頑張っているようだ。

「どうなりましたか?」とは、この雰囲気では聞きにくい。

「言いたくないことは話さなくていいのよ。私、あなたのブログを覗いたけど、話したいと思った時には個人的に聞くわよ。役に立てるかどうかは分からないけどね。自分を責めない方がいいわよ」と、またしてもダークヒロインがフォローした。意外と頼りになる姉御肌なのかもしれない。

ロンが、(わいも相談に乗るでぇ。お礼にヨシヨシしてくれたらええわ)などと、ほざいている……。

ここで、ご主人が火鉢で焼いた餅を、みんなに配った。しばし、話を中断して、アツアツの餅と渋いお茶の時間となった。

餅を食べ終わった頃、進行役の保奈美さんが、「確かに、初めて会った人達に、あまり深いことも話しづらいわよね。少しでも日常のストレスを発散できたら、それで今日は、いいんじゃないのかしら? 歳を取ると、生きているだけでありがたいみたいなところがあるのよ。若い人の声を聞けて、私も頑張ろうと思えるわ。そういえば、そちらの佐々木さんのお話がまだでしたわね。確か、ブログでは犬の代弁で書かれてましたよね」と、僕の方に話を向けた。

みんなの視線を感じつつ、「いや、僕もたいした話はできませんけど。ごく普通のサラリーマンで、息子と娘は結婚して家を出たので、妻と二人暮らしです。子供達が自立して、ホッとしたような寂しいような感じです。毎日、しょぼくれ犬を相棒にして日々を過ごしています……」と話し始めた。

(おい、誰が、しょぼくれ犬やねん。そうやないやろ。ここは、ひとつ、わいの婚活に貢献してもらわんと)

ロンが途中でけしかけてくる。

そう言われてもなぁ。しょぼくれ犬は、しょぼくれ犬じゃないか。

「で、その相棒のロンという犬のパートナー探しをするつもりで、気軽にブログを始めたわけです。お年頃というか、発情期というか、うるさくて。少し前までは、子猫のミーがいたんですけど、娘が……、娘というのが、パリに婿と住んでましてね。ミーを子供の頃に飼っていた猫の生まれ変わりだと言って、パリに連れてってしまったんです。それもあって、ロンも兄貴分のつもりでいたので寂しくなったんでしょうかね。急にパートナー探しをしろって、せっつくようになって。いえ、しゃべったわけでは、もちろんなく、なんとなくそう感じたといいますか。それでパソコンに慣れる意味もあって、ブログを作ったというわけです。僕自身、ブログで人の人生や生活を見せてもらい、刺激になってます。ロンは見ためはアレなんですが、ちょっと珍しい犬でして。良く言えば、癒し犬というんでしょうかね。本人、いや、本犬と言った方がいいのかな。自分はスーパーマンのようなカッコイイ犬だとカン違いしてまして。それも、まあ愛嬌といいますか。よきパートナーがいましたら、ご紹介くださると助かります。今日は僕もくつろがせてもらってます。招待いただいて、ありがとうございました」

(見ためがアレってなんや。それに、カン違いちゃうで)

これはロンの心の声だ。

天作さんが「親近感を覚えるワンちゃんですなぁ。婚活ですか。わいも女性に好かれよう思うて、色々と頑張りましたわ。ちょっと前に流行った『壁ドン』ですか。あんなことも練習してみたり。なんや、遠い昔のことに思えますわ。ええ嫁さんが来るとええですな」と、まさに分身とは知らず、そんなことを言った。

「はぁ、ロンにも頑張るように伝えます。僕の話は、そんなところです」と、苦笑いするしかない。

「なんだか可愛いじゃないですか。もし、パートナーになりそうなワンちゃんがいたら、紹介しますね」と、桃先生も社交辞令かもしれないが言ってくれた。

(よろしゅう。頼むで。桃先生も頑張りや)

もちろん、これも、ロンの心の声だ。

それにしても、人前で話すって、ヘンな汗を掻くな。せっかく風呂に入ったのに、汗ばんでしまった。

保奈美さんが「それでは最後に、こちらのご主人から挨拶をいただきましょうか。本当に今日は、お招きいただき、ありがとうございました。いいお湯でした」と締めくくるように、龍さんの方を向いた。

「そう言ってもらえると嬉しいですわ。長く風呂屋を営んできて、今はバイトの子が手伝ってくれてますが、わしも歳なんで、そろそろ引退を考えるようになりましてな。孫に話すと、『このまま終わっていくのも寂しいじゃないか。ブログでも開いて、銭湯なんて知らないという人達にも宣伝して、来てもらったらいいんじゃない』そんなことを言われまして。お陰で、みなさんに来ていただくことができました。こういう言い方は失礼かもしれませんが、今回の招待は、わしなりに選ばせていただいたんですわ。言葉にすると難しいのですが、一生懸命に生きている人に、わしが守り続けてきたこの銭湯の湯に浸かってほしいと思ったもので。実際にお会いして、その選択に間違いはなかったように思っています。あの、もしよければ、集まったご縁のみなさんで、たまに交流会なんてどうでしょう。不定期でいいので、ここの最後の日まで見守っていただけたらありがたいです。ご迷惑でなければ、気楽に湯に浸かって、たいした物は出せませんが、食べながら話す。慣れてくれば、本音も言えるかもしれませんし。癒しの場として利用してもらえたら嬉しいんです。わしのお客様への最後のご奉公といいますか。もちろん、ご近所さんへのお礼も考えてますけど、何かこのご縁を大切にしたいという気持ちもありましてな。不思議なもので、わし自身、書くのは苦手ですが、ブログの世界に入り込んだところもあって、みなさんのことが妙に気になってたんです。それが、ネットいうんですか、その世界の魅力でもあるんでしょうな。自分の知っている範囲を超えて人と繋がるということを、この歳で体験させてもらいましたわ。わしの最後の風呂焚きの日まで、みなさんに見届けていただけたら本望です。どうでしょうか?」

龍さんは、照れたような表情で、みんなの顔を一人一人見た。

ダークヒロイン、ダークヒロインという呼び名は失礼だな。いい人みたいだし。里穂さんだっけ。里穂さんが「私は、かまわないわ。けど、私が本音で話せるかどうかは、何ともいえないかな。でも、タダっていうのは悪いわ。参加費を払う方が気楽に来れるわ。私はだけどね」と一番に返答した。

天作さんも「わいも参加費に賛成ですわ。来たい人が来たらええんちゃいますか。無理強いしても、癒しにはなれしまへんし。わいは、親兄弟とも疎遠になってしもうたんで、こういう繋がりはありがたいですわ。今の家族は、山田くんだけなんで、あっ、山田くんもハムスターですけどな」と、マジメな顔で言った。

里穂さんが「ぷっ」と吹き出している。

今度は、山田くんなんだ。

(わいも友達になったわ)

ああ、そうなんだ。まったく異次元の世界にはついていけないよ。

交流会の方は、僕や保奈美さんも賛成して、桃先生、いや、直美さんは「う~ん、私は約束はできないな。でも、来たくなったら、お風呂だけでも入りに来るかもしれないわ」ということだった。

龍さんは「ありがとうございます。それでは……参加費というより、菓子のひとつでも持ち寄ってというのはどうでしょうか。その方が気が楽というのなら……。無理強いではないので、よかったら、銭湯のじじいの最期を看取るつもりで、お湯に浸かりに来てくださいな。よろしくお願いします。それでは、今日はこれでお開きということで。もう一度湯に浸かりたいという人は、どうぞ、ゆっくりしていってください」と深く頭を下げた。

長く続けてきた仕事を辞めるというのは、それなりの感慨深さもあるのだろう。決まった従業員もいないみたいだし、誰かに見届けてほしいという気持ちも分からなくもない。

ご主人の挨拶が終わると、簡単に片付けの手伝いをして解散となった。三人の女性は、そのまま帰っていったが、僕と天作さんと……ロンは、もう一度風呂に入ってから帰ることにした。

「いい湯だな、あははん」

天作さんは機嫌がよくなったようで、鼻歌を歌っている。その声に重なり合うように、(ほんまや、ええ湯やな。あははんか)とロンの声。

ったく、いつもは、体を洗うのもイヤがるくせに。いったいどういうことなんだ。

風呂から上がると、ポカポカの体のまま天作さんと駅まで歩いた。

「それでは、また」と軽くおじぎをして別れた後、ロンは、いつ自分の体に戻るんだろう? と気になった。


家に戻り、さっそくリビングで寝ているロンに話しかけてみる。

「おい、ロン、帰ってるのか。おまえ、くつろぎ過ぎだよ」

目をつぶっていたロンが「おぅ、遅いのう。わいは瞬時で戻ってたわ。パパさんこそ、リラックスしまくってたやないか。べっぴんさんに囲まれて、鼻の下を伸ばしてたこと、ママさんに言いつけるでぇ」と片目を開けた。

「鼻の下なんか伸ばしてないぞ」と反論しつつ、楽しかったのは事実だ。

「次は、いつだろうな。直美さんも来るといいな。やっぱり保育園での一件は、気になるからさ。ロンも、また天作さんの中に入るのか? まさか、水野くんが呼んだとはなぁ。いったい、見えない世界では、どうなっているんだ?」

僕はロンの横に寝そべって聞いた。二度も大きな湯舟に浸かり、心地よいだるさを感じていた。

「見えない世界は、ネットの世界と似てるところはあるんや。見えへんけど、繋がっているさかいにな。水野くんは、天ちゃんのことを今でも心配してて、山田くんとも繋がってるみたいや。もちろん、次回も行くで。大きな風呂に浸かるんは、ほんまええ気持ちやったわ。人間の食べ物も、天作さんを通して味わったけど、ウマかったわ。ご主人、男なのに、ずいぶん気が回るわ。糖尿病の天ちゃんでも食べられる物を用意してはった。なんや、おもろうなってきたな。まだまだ、見えてへんことがあるみたいやで。まぁ、パパさんも、楽しみにしとき」

ロンは、分かったような分からないような説明をした。

いつものことだけどな。ふぁ~、あくびが出る。

「夢の中ででも、どうなっていくのか教えてくれよ?」

ムニャムニャと言葉にならないようなことを言いつつ、僕は目が閉じていくのを感じていた。

かすかにロンの声がする。

「現実で見ていくんや。もう、不思議な世界が、不思議でのうなってくる世の中なんや……」

ん? ロンは何を言ってるんだ……。そして、僕の意識は深い眠りの中へと沈んでいったのだった。


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