頭上の海

頭上の海

頭の上には海がある

青く透き通った海に白い波が立つ

地上の海のようには鳴かないけれど

静かに青をたたえている

やわらかな白い波のあいだを

真っ直ぐに飛ぶ船が軌跡を残す

軌跡が海を横切って

ふたつの海がうまれる

白い船の行き先は

地上からではわからない

その道すじを夢想すれば

わたしのこころはゆるりと旅へ

街を越え　山を越えて

見知らぬ土地にこころが浮かぶ

どこに浮かんでいても

わたしは海とともにある

青い　蒼い　あおい

頭上の海に抱かれて

わたしは静かに旅をする