報復は何も生まない、分かってはいるけれど――

小競り合いを続ける隣り合った二国。
ようやく休戦に至った二国のうち片方の国で、今まさに国王が崩御しようとしていた。
彼は隣国の民の命を多く奪ったことに罪の意識を感じている。
それではなぜ戦を始めたのかと問う者に、王は答える。
隣国の者に妻子を殺されたからだと。

大切な家族を奪われたら復讐をするのは人間のごく自然な感情だと思います。
でも現実の世界を見ても、戦争が無くならないのは報復に次ぐ報復を繰り返しているから。
復讐の連鎖はどこかで終わらせなければならない。

でも、復讐心の根底にあるのが、家族や近しい人への愛である以上、人間は戦を続ける生き物なのだろうと思わずにはいられません。

ファンタジー世界を描いていますが、現実について深く考えさせられる社会派小説だと思います。

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