第3話 ご対面

「俺は布団敷いて寝るから、お前はベッドで寝ろ」


「え?いいの?貴方のベッドだよね?」


「レディを床で寝させる訳にはいかねぇだろ」


「まあ、そうですが…」


意地悪なとこもあるけど意外と紳士なのよねぇ。



「じゃあ電気消すぞ」


「うん」


「おやすみ、いい夢を…萌黄」


「うん、おやすみ」




〜〜〜〜


うーん…朝みたいね。


零は…ってまだ寝てる!?


「れーい!起きてー!朝ですよー」


「ふぁあ〜、大声で言わなくても分かってるよ」


起こすと眠そうにそう言って起きる彼。


なんか、可愛い…


「おい、今生意気な事考えただろ」


「気のせいだよ」


エスパーかよ…あ、魔法使いか。



「支度終わったら部屋から出てリビング行くぞ、家族の皆サマに紹介しないとだからな」


「分かった」


やっぱり紳士だから着替えてる時は部屋から出てくれるんだなぁ。



「支度終わったよー」


「嗚呼」


そして二人で廊下を歩く。


大丈夫かな…ご家族の人怖かったらどうしよ…。


「おい」


「はい?」


「目ぇ瞑って、口開けろ」


「こう?」


すると口に何か入れられた。


甘い…これは飴?


「気休めにしかならねぇが、少しは安心するだろ?」


「あ、ありがとう」


私が不安だったの分かってたんだ…。


「零ではないか、そのお嬢さんは…もしや」


すると零は私に体を引き寄せ


「そうだ、俺の婚約者だ」


なんかドキッとしちゃうんだけど


ってドキドキしてる場合じゃない!自己紹介!


「あ、お祖父様、萌黄と申します…零さんとお付き合いさせてもらってます…」


「おぉ、そうなんだな、可愛いお嬢さんだな」


「あ、ありがとうございます」


「おい、早く行くぞ」


「はい」


「嗚呼、そうだな」


零と私、お祖父さんとリビングへと歩を進める。その刹那…


「よろしく頼むぞ…月の姫・萌黄の君?」


「え?」


お祖父さん…なんで知って…




「零!やっと身を固めてくれるのか!」


「それは柳からも聞いた」


会ってみると意外と明るいお兄さんだな。


というかあの執事さん、柳さんって言うんだね。


「萌黄さん、弟をよろしく頼みます!本当は父にも紹介させたかったが、仕事で不在の為申し訳無い」


「いえいえ、こちらこそ突然すいません…」


すると柳さんが手をぱんぱんと叩き


「そろそろ、朝食の時間です、着席ください」


そして、「いただきます」と言い、朝ごはんを食べ始める。


「いやぁ、零はモテてるんだが、あまり交際をしなくてね…心配で心配で」


「そ、そうなんですね…」


「聡明だから生きるのには苦労しないが、やっぱり心配だったんだ…でも君が結婚してくれるなら助かるよ」


お兄さんは零の事を本当に気にかけてるらしい。


いいお兄さんだなぁと思った。



『お前は姫君だ、なんで落ち着きがないんだ!』


『なに?成績が良くなった?当たり前だろう、一々自慢するな』



ここに…居たいなぁ…


月よりもここが暖かい…



To Be Continued

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