僕なんかいなくても

@Rakon7

第1話 空想しようもない日々

俺の日常はありきたりな物だった。

例えば、友達と学校に行って授業を受けて帰る。 そして休日は、友達と遊びに出かける。そんな、漫画にも、映画にも、小説にも、ましてや歌にもならない。

そんなクソしょうもない日々が続くと俺は、、、

古谷ふるや水透みなとは思っていたんだ。

激しい弾幕が機械的に、無数の命を刈り取る。血飛沫を上げながら、目の前で命の灯火が消える。

なんで、こんなことになったんだろうか。

あの時はただ退屈だった。ずっと続くと思っていた。

幸せだった日々が。好きな人も友も、家族もいた。

何にもないから小説化しないような普通の日々が、あの日々が。今では俺の空想上の世界でしかない。

友も家族も、愛した人も。

あのクソしょうもない日々を彩っていた人も物も、日常も。

今は空想しようもない日々だ。

相容れないあの時の幸せを。本音飲み込んで考えている。

  確かに幸せだった日常に戻りたい。

銃声が轟く世界の中で俺は、考えていた。


2035年に、第三次世界大戦が勃発した。理由は、深刻化した地球温暖化により、人間の居住可能地域のが狭まり、数少ない土地を求めて起こった。

全て人類の自業自得だ。

そして4年余りの月日が流れた2039年の現在でも、戦争の火は弱まるどころか、新たな兵器が生まれ、更に激しい争いへとなっている。

たとえ、民間人だとしても殺される。子供でも、老人でも、男でも、女でも、皆等しく殺される。

みんなが、希望を失って細々と生にしがみつく。

俺も、その中の一人だ。大切な人たちを残らず殺され、でも死ぬのは怖いから無様に生きる。

「さっきは、死ぬかと思ったな」

ボロボロになった自宅の中で、煤汚れたベッドに寝転びながらつぶやいた。

平和だった頃は整えていた綺麗な黒髪も、今ではボサボサで汚れている。綺麗な茶色の瞳も、希望を無くし、黒く濁っている。

不意に腹がなる。

「あー。もう3日も飯食ってないからなぁ、、、」

水透は、キッチンだった場所から缶詰を取り出し5分足らずで完食する。

これで缶詰は残り2つ。

「、、、体力ある内に飯集めるか」

そう思い、鉄製のバットを持ち、父が生前愛用していた登山用のリュックを背負って終末世界アポカリプスへと、出かけた。


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