夢に出てくるヤンデレ美少女or現実世界のヤンデレ幼馴染。〜どっちを選ぶ?と迫られても選べるわけないし、二人とも圧が強すぎる〜
友宮 雲架
1
「痛たたたた」
全身にのしかかる体重。それはきっと恐らく女子のもの。
俺はそれから逃れることも出来ず、抵抗することも出来ない。
何故ならそれは――夢だから。
「ねえ、聞いてるの?」
「んへ!?」
「変な声出さないで。私のこと、嫌い?」
「嫌いじゃないです」
「じゃあ、好きでも無いのね」
何故、そう決めつけるのだろうか。
俺はこの美少女の名前を知らない。いや、正確には『知らない』じゃなく、夢から醒める度に忘れてしまうだけなのだが。
「えっと、誰さんでしたっけ?」
「酷くない? また忘れたの?
忘れないよう、メモを取ろうとメモ帳とシャーペンを取りに行こうとするが――。そういや、こいつのせいで動けないんだった。
「どいてくれないとメモ取れないんだが」
「そうよね?
そう、物理的にも精神的にもこいつからは逃げられない。いや、物理的にくらい離してほしい。
「重い重い重い」
「女の子に重いは失礼」
そういや、どっちの意味でも重かった。
「どうせ、メモ取っても忘れるんでしょ? 夢の中だから」
明音も夢の中の人間だっていう自覚、あったんだな……。
「それはそうだ」
夢の中だからノーカンでしょ? といつも通り、彼女はえっちしてくる。起きたら俺はどうなってるんだろう……? 、という一抹の不安までも
快楽で満たされた瞬間、俺は夢から目覚める。
最後に明音の「夢の中で私はいつでも待ってるから」という声が聞こえた、気がした。
――夢から醒めると、またしてもあの子の名前を忘れていた。俺は最低だ。
とりま、ノートに何か書いてみる。
確か『あ』から始まってたような……。
秋良?
や、それ俺の名前じゃん。
何だっけ?
あかり?
近い気がする。
まあ、いいや。学校に行かねえと。
あいつに会うの、憂鬱だな……。
ゆっくりとした足取りで通学路を歩く。
「どーん!」
後ろから大きな衝撃。
俺の幼馴染――
「おはよ」
「おはよう、雫」
「あんたが家から出てきた二分後からストーキングしてた。我ながら二分も遅れるなんて、大失態。幼馴染、辞めたほうがいい?」
「幼馴染って辞められるもんなのか? て、お前はストーキングより、試験勉強しろよ。この前のテスト赤点ギリギリだっただろ」
「ストーキングしてないと落ち着かないんだもん」
うん、放っておこう。
俺は猛ダッシュで通学路を駆ける。
「もう! 待ってってば!」
まだ高校生活は始まったばかり。
まさかあんな衝撃の事実が隠されていたなんて、この時の俺は知る
てか、夢の中では踏み潰されて、現実世界ではストーキングされるって俺、
女運無さすぎ?
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