第2話『私の幼馴染みはどストエフスキー』
私の名前は南本 利絵(みなもと りえ)
私は辺鄙(へんぴ)な片田舎の町に住んでいる。
趣味は読書と自分磨きの文学少女 (自称)
顔立ちは‥‥‥‥‥うん。自分でも自覚する位には整っていると思う。
勉強も運動もそれなりにできるし。それに相応しい位の彼氏は‥‥‥‥いた事がないかな。
いや、それにはちゃんとした理由があるの。
私が理想とする彼氏の基準が高過ぎるせいなんです。
顔は中性的な可愛らしい顔。
成績はこの進学校である。沙原高校でも上位の成績を取っていて。
運動もずば抜けてできて、小さい頃から色々な運動部の大会何かで優勝してる人。
そして、絵や音楽なんかを小さい頃から嗜(たしな)んでいて、県のコンクールとかで佳作を頻繁に取る様な多彩な才能があって。
女の子のワガママにも嫌がらずに最後まで聞いてくれるそんな男の子が私の理想のタイプ何ですが。
‥‥‥‥‥そんな高望みを高校に入学するまで抱いていた結果。産まれてからの15年とちょっとを彼氏不在で過ごしてしまったのでした。
はい!自業自得だよね‥‥‥‥とほほ。
でもっ!でもねっ!
入るんですっ!実際にそんな私の高望みストライクゾーンにストレートど真ん中に入ってくる男の子が。私の隣に入るんですっ!
昔からの知り合いで優しくて物腰が柔らかく。頭も良いし、運動能力も高く。
絵や音楽が趣味の男の子。顔は勿論、中性的な可愛い顔の男の子。
それが私の小さい頃からの幼馴染みの世道 見理(せいどう けんり)君。
ケンリ君のお家、世道家はこの片田舎の街でも由緒あるお家でお父さんがお医者さんでお母さんが弁護士というチートみたいな両親をお持ちの幼馴染み。
完璧‥‥‥‥ドストエフスキー‥‥‥‥じゃなくてどストライクなの‥‥‥‥‥ごめんなさい。ケンリ君の事を考え過ぎて頭が可笑しくなっていたわ。
そんな理想的な男の子のケンリ君だけど一つだけ欠点があるの。
それは彼が超が付くニブチンだという事。
ケンリ君は小さい頃から何でも直ぐにできる子で‥‥‥‥頭が良いのも当たり前。運動できるのも当たり前。絵や音楽のコンクールに優勝できて当たり前。
何でも直ぐにできて当然という思考回路だったりするし、そんなんだから自己評価もとても低いの。
しかも誰に対しても優しいから、可愛い女の子達がわんさかよって来るし。
高校に入学してから一緒に入った料理研究部だって‥‥‥‥‥
(ねぇねぇ、ケンリ君。高校で入る部活決まった?)
(ん?あぁ、料理研究部にしようと思ってるよ。南本さん)
(料理研究?何で?それに南本さんって‥‥‥‥何で名字呼びなの?)
(いや‥‥‥高校生にもなったし。下のまで呼ぶのは恥ずかしと思って‥‥‥)
(駄目よ。下の名前で呼ばないとっ!利絵(りえ)って呼んでくれないと怒るからね)
(うんっ!分かったよ。南本さん。それで何で料理研究部かというとね)
(もうっ!また、南本さんって‥‥‥‥‥全くもう)
(何?頬を膨らませてんの?‥‥‥‥まぁ、いいか。それで料理研究部に入る理由なんだけど。梓(あずさ)姉さんが勧誘してくれたからからなんだ)
(アズ姉が勧誘ぅしてきた?‥‥‥‥‥‥あぁ、そういえば去年、アズ姉の学年と先輩の学年が争ったせいで料理研究部の部員がアズ姉一人になったとか言ってたもんね。そのせいで部活存続の危機だっ!とか騒いでたものね‥‥‥‥あの近所の女帝お姉さんは良い歳して何してるんだろう)
(うん。だからお願いされてね。暇だし、丁度良いから入部しようと思うんだ。それを有栖川(ありすがわ)さんや楠(くすのき)達に話したら私達も入ろうかなって言ってたし。ダイキと天瀬(あませ)も誘って五人で入部しようと思って‥‥‥‥)
(じゃあ、私も入るからっ!)
(へ?)
(それと親友の皐月(さつき)ちゃんも誘って‥‥‥‥ダイキ君なら皐月ちゃんの夫だから良いわね)
(いや、有栖川さん達も入るって言ってくれてるんだけど)
(確か、部員の定員数が五人いれば存続できるだよね?じゃあ、ケンリ君、私、ダイキ君、皐月ちゃん、アズ姉の五人がいればクリアできるって事だよね?)
私はズズズいっとケンリ君の顔に近づいて圧をかける。
(あ、あぁ、それで大丈夫だけど‥‥‥‥何で?そんなに南本さんは必死なの?有栖川さん達も誘えば人数も増えて部活よ楽しくなる筈‥‥‥‥)
(幼馴染み特権だよ。ケンリ君っ!ハイッ!これでこの問題は解決しました。これ以上は受け付けませんっ!)
(‥‥‥‥うわぁ、出たよ。南本さんのよく分からない幼馴染み特権。了解です。放課後、梓(あずさ)姉さんの所に行って部活見学に行こう。予定開けといてね。南本さん‥‥‥)
(へ?予定それって!)
(じゃあ、また放課後に迎えに来るから。じゃあね‥‥‥‥)
そんなやり取りの後、放課後。アズ姉の入る部室に行って。部活見学後、ケンリ君達と入部する事ができたまでは良かったんだけど。
後日、私が所属する一年A組にケンリ君とあの娘が一緒に来てあんな事になるなんて思いもしなかったなぁ。
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