第21話 女子なので女医さんにお願いします?

 退院後の外来診察は受付してから時間がかかるけど、この間、いつ呼ばれるか判らない状態でトイレに行きたくなるかもしれないってのが、毎回ストレスだった。

 息んじゃ駄目なので、便意が来た時にすっきり全部出切った感があったらいいよ。

 でも、なんとなくまだ出したいような気がする、ってなると、待ってる間に何度もトイレに行っては戻り、で落ち着かなかった。


 でも、私の場合は漏らす方のトラブルは一度もなくて済んだから、楽な術後だったんだと思う。勿論、漏らすことがあっても、皆、ちゃんと治っていくので心配はいらないんだけど、治ってからも不安で暫らくパッドやナプキンをやめられなかった、という失敗したことのある人の体験談も目にした。

 手術後は傷がすごい腫れて(鏡で確認したらかなりのもんでした……)ボコボコに盛り上がってるので、人によっては腫れで肛門に隙間が出来ちゃって、ゆるい便が漏れやすくなってしまうのかも。

 仮に漏れてもパッドを当ててるからそうそう大ごとにはならないし、色々と心配し過ぎだったなーと振り返って思う。

 でも、色々調べて知識あったから覚悟持てたし、楽に過ごせたのは事実だ。



 【痔】っていうのは、なかなか人に知られたくないジャンルの病気で、病院の出入りすら顔を伏せてサササッと入る、みたいなイメージだったから、まず一歩を踏み出すだけで相当勇気が必要でした。

 だから、病院で同じ病気の患者がたくさんいるの知ってはじめて、自分だけが悩んでるんじゃないってわかったし、比率は年配の人が多かったけど若い人も普通にいたし、特別なことじゃないって思えました。


 診察室から出てくる制服着たイケメン高校生を見た時は、すごい勇気! 偉いよ! 私もその年からちゃんと治療しとけば良かったと後悔してるよ! と心の中で拍手を送ったり、調剤薬局で薬剤師さんが丁寧に説明してくれるのに、申し訳ないけど男性患者もいるとこで症状とか大声で訊かないでよー。デリカシーデリカシー! とイラッとしたり(決して大声ではない。普通の声だった)。

 まあ、かなりセンシティブでナーバスな状態なものですから、一歩を踏み出すためにも出来るだけ経験者のリアルな声が知りたいものなんですよ。


 でも、ブログもユーチューブも結構見漁ったけど、ほとんどは物足りなくて、知りたい部分がよくわからないままでした。

 そんな時、私にとっての神ともいうべきブログ先輩(と勝手に呼称)を見付けたことで、経験したのと同じくらいの知識がついて安心して挑めたことから、恩返しの意味でもかつての私のように情報を必死に探しているかもしれない未来の後輩さんに、少しでも役に立てたら……と、恥ずかしながら【痔】の体験談を書くことにしたのです。



 ブログ先輩のブログをここで紹介していいものなのか判断がつかないので、自分の体験をできるだけ詳しく――を目標に書いてきましたが、この体験談が誰かの役に立てたら嬉しいです。



 すごく恥ずかしくてなかなか勇気が出ないかもしれないけど、もし気になる症状があったら一人でずっと悩まないで、病院に行ってみて。

 少数ながら、人によっては手術後の痛みが酷過ぎて、退院後も1ヶ月半近く歩くのも苦労するレベルの痛みだったという例もあるらしいから、絶対手術した方がいいとは思わない。

 手術でそこまで重く長く苦しむのは、動画やブログ等で見た感じでは、手術前からあまり知識を持たず、悪いイメージだけ持って怯えきってるタイプに多い印象だったけど、統計を取ったわけでもないのでそこはなんとも……。

 

 でも、私は行って本当に良かった。

 普段から痛いとか出血がずっと続くとかではなかったので、手術前と感覚は何も変わらないんだけど、治ったという安心感だけで全然違うから。

 手術は恐くて受けられなくても、不安になってる症状に診断が付くだけでも、悪い想像がどんどん膨らんで怯えることがなくなるだけで全然違うから。

 『痔かもしれない、もっと重い病気かもしれない』から『かもしれない』が取れるだけで、マジで心の大きな重荷が1個取れるから。まあ、そこから別の悩みが生まれることもありますが、知らなくていいことなんて一つもないから。




 あと、実はこの病院では女医さん担当の診察日もあるけども、私は最初から選択肢には入れてなかった。恥を忍んでお尻晒すのなら、もう男とか女とか関係ない、腕のいい、いつもいて信頼できる人に任せたい……。常勤の先生一択です。

 訊いてないけどおそらく、最初に女医さん狙いで診察を受けても、手術担当は常勤の男の先生になってる気がする。

 私のバイブル、ブログ先輩も女性医師狙いで診察受けてすぐに手術を決断したところ、その日のうちに手術担当の男性医師に対応をバトンタッチされたと書いてある。

 私の入院中も入院患者の毎日の診察は、私の担当医T先生が全員診てたしなー。

 でも、一度医者にお尻見せるというハードル越えた人は、途中で男の先生に代わったところで気にする感じはないのかも。ブログ先輩も男性医師にチェンジしたことを不服に思うどころか、手術の説明を聞いて「せ、先生、頼もしい✨」と女医さん以上に安心感を覚えた模様。優しい雰囲気で頼もしい、とかなりの好印象が見てとれました。


 先生も看護師さんも皆プロだからビジネスライクにテキパキ動くし、もたつくこともなくて、患部を素早く診たらすぐ直していいですよ、と視線を外してくれるし、恥ずかしいと思う間もなく最短時間で済ませてくれる感じで、お尻出すのも慣れちゃって、全然大丈夫だった。

 一個だけ、これは地味に面倒ってのが、手術するまで使用していた朝晩の座薬とプラスチックチューブの軟膏が、トイレ行くたびに蝋のようにかなりベットリと便器についてしまい、都度トイレ掃除でした。


 でも、まあ、案ずるより産むがやすし、って本当その通り。


 あ、あとアドバイスが一つ。何度もお風呂で患部を温める必要上、手間や時間、お金を惜しんで自宅ではお湯少なめの半身浴がちょうど良かったけど、季節が冬だったらかなり厳しいと思います。

 冬だったら冷えないようにちゃんと毎回しっかりお湯溜めてたと思う。

 少しでも楽したいぜっ、という人は手術の時期はなるべく過ごしやすい季節がお勧め!


 それではここまで読んでくれた方、お付き合いいただき有難うございました!

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痔になりました。 アノクヒノキナ @3141592653589793

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