どうやら俺の性欲が世界を滅ぼすらしい〜俺と美少女の共同性活〜

福寿草真【コミカライズ連載中/書籍発売中

プロローグ どうやら俺の性欲が世界を滅ぼすらしい

「預言の結果、あなたの性欲が世界を滅ぼすことが判明いたしました」


 目前に腰掛ける白銀髪の浮世離れした美少女がごく自然にそう言った。


「…………は?」


 俺は思わずそう言葉を返す。


 ──土曜日。久しぶりの土曜休みということもあり、自室で休日を満喫していると、突然目を見張るような美少女が家にやってきた。そして部屋に入ると、突然そんなことを宣ったのだ。

 俺が怪訝な表情を浮かべるのも無理はないだろう。


 そんな俺をよそに、少女は再度口を開く。


「預言の結果、あなたの──」


「いやいや、繰り返す必要はなくて。……は? 俺の性欲が世界を滅ぼす?」


「はい」


「一応確認だが性欲ってのは……あれだよな?」


「はい。あなたの場合は、女性との性的接触に対する欲望のことです」


「……おーけい、よーくわかった。で、それがどうして世界滅亡に繋がる訳よ。なんも関係ないだろ?」


「では詳細に説明させていただきます。雄馬様はダンジョンやスキルについてはご存知でしょうか」


「そりゃもちろん」


 今では誰もが知る常識である。

 ダンジョンとはおよそ50年前突如世界中に発生したものである。

 日本には現在3か所存在しており、中には魔物と呼ばれる化け物が存在している。そして同時期に一部の人間に発現した超常的力──スキルと呼ばれるものがあり、それが魔物に対抗する唯一の手段だったりする。


 ちなみにスキルは基本10歳で発現するのだが、残念ながら俺には何もなかった。……まぁだからこうしてごく普通の会社員──というには少し、いやかなりブラックな企業だが──として働いているのだが。


「ではダンジョンのレベル問題についてはいかがですか」


「それももちろん知ってる。なんか10年くらい前からダンジョン内に生息する魔物の平均レベルが急速に上がりだしたってやつだろ。それもどうしてか日本だけ」


「そうです。そしてその平均レベルの上昇幅は年々向上しており、このままではいずれ探索者が対処できなくなってしまうというのが昨今の社会問題ですね」


「たしかまだ原因もわかんないんだろ? そりゃなんとも怖い話だよな」


「……はい、以前まではそうでした。しかし今回、私の預言によりその原因が判明いたしました」


「へーついにわかったのか……って、ん?」


 なぜこんな話を俺に。いや、その前に最初の会話を思い出せ。まさか……?


 少女はうんと頷く。


「はい。原因は雄馬様の性欲にありました」


「んなバカな!?」


 俺は思わず立ち上がる。


 なぜ個人のプライベートな事情とダンジョンがリンクしている!? ありえないだろ!?


 困惑している俺に、彼女は続ける。


「預言は100%的中いたします。つまりこれは紛れもない真実です」


 呆然とする俺に、少女は更に続ける。


「とはいえダンジョン協会も今回ばかりは流石に疑いました。そこで誠に勝手ながら雄馬様について少しだけ調査させていただきました」


 言葉の後、少女は何やら書類を取り出すと、そこに目を通しながら淀みなく言葉を発した。


臨海雄馬のぞみゆうま。24歳。職業会社員。これまで彼女が出来たことはなく、また風俗等に訪れた経験もなし。女性に対する欲求はあるが、持ち前の度胸の無さが災いし──」


「おいやめろ! ってかなんでそんなことまで知ってんの!?」


「私、預言者なので」


 言いながら美少女は表情の乏しい容貌に小さくドヤ顔を貼り付ける。


「そんな自信満々に言われても困るんだが」


 てか神様個人情報ばら撒きすぎだろ。


 ……まぁでも実際彼女の言った内容は正しい。確かに彼女ができたことも無ければ、風俗等で女性と触れ合った経験もない。だからこそ女性に対する憧れというか、性的な欲求はそれなりにあるのは間違いない。


「なぁ疑問なんだが、その預言者ってのは本当なのか?」


 俺が疑うのは理解していたのか、彼女はどこかからカードを取り出すと、それをスッとこちらへ差し出した。

 カードを手に取ると、それが探索者カードという、ダンジョンに潜る探索者が所持するカードであることがわかる。

 たしか特殊な魔道具で作成されており、偽造不可能なカードであったはずだ。


 ……なるほど、これなら身元の証明としては最善か。


 俺はそう思うと、手に取ったカードへと目を通していく。


「名前は……リーリェさん」


「呼び捨てで構いません。むしろそれでお願いします」


「あーじゃあ、名前はリーリェ。19歳で、ランクは……S!?」


 探索者のランクはFからA、そして最上位としてSと定められている。つまり──


 19歳で最上位!? この子そんな強いのか!?


「……んあ? でもそんな実力者ならある程度名は売れてるはずだが……」


「私の能力の強力さ故に、存在は一般に秘匿されておりますので」


「なるほど」


 確かに預言者の存在が外に知れ渡る訳にはいかないか。まぁそんな大事な奴がなんでソロで俺の前にいるのかって疑問はあるが。


「いかがでしょうか。預言者の証明にはなりませんが、私の身分については納得いただけたのではないでしょうか」


「そりゃもう痛いほどわかったよ。……で、俺の個人情報が正しいとしてそれがどう関係するわけ?」


「こちらをご覧ください」


 そこにはダンジョンの平均レベル上昇率と俺の生まれ年から今に至るまでの女性に対する欲求の変化を比較したグラフが載っていた。


 ……正直体感でしかないが、俺の性欲の変化に関しては正しいように思える。


「確かに連動してるな……」


「ご理解いただけましたか」


「理解っていうか……まぁ、とりあえず事情はわかった」


 俺は首を傾げ、言葉を続ける。


「で、その事実があったとしてあんたは俺に何を求める? たとえば危険だから死んでくれってことなら流石にお断りさせてもらうぞ」


「あなたの死は望みません。いえ、むしろあなたは死んではならない」


「死んではいけない?」


「はい。その理由については……そうですね、そちらはまた後ほどお話いたします」


「よくわからんが俺の安全は保証されてる訳だな」


「そうなります」


「そっか。んで、その上で俺はどうすればいい?」


「簡単なことです。雄馬様にはとにかく性欲を満たしていただきます」


「は?」


「先程のグラフの通り、ダンジョンのレベル上昇には雄馬様の女性に対する欲求の高まりが関係している。つまりその逆、雄馬様が性欲を満たせば──」


「ダンジョンのレベルは下降して、いずれ正常に戻ると……?」


「はい」


 まとめると俺が女の子とエロいことをすればするほど日本の平和に繋がると……?


「それなんてエロゲ?」


「私もそう思います」


 お茶を一口飲み、リーリェは一息つくと再度口を開く。


「今回私が訪問したのはこの事をお伝えすること、そして私の身をもって先程のお話が事実であると証明するためです」


「身をもって……」


「はい。時間も時間ですので、それでは早速」


 言葉の後、彼女は立ち上がると服を脱ごうとし──


「ま、待て待て! 流石に気が早すぎるだろ!」


「……? 私ではご不満でしょうか?」


「いや、不満はないが。……ほら、あんたは嫌じゃないのか? いきなり初対面の男と性的なことをするなんて」


「……実はかねてより男性に興味がありました。しかし私は立場上過度に他人と接触することができない。そんな中、あなたという私が接触しても問題ない男性が現れた。私はこれを運命だと感じております」


「だからいいと」


「はい。むしろ是非お願いしたいです」


「いや積極的すぎるだろ……。まぁ気持ちはわかった。ただこちらとしては、だからといって最初から性的な接触をするのは違うと思うわけよ」


「ではどうすれば……」


「ハグだ」


「ハグ……ですか」


 リーリェは目をパチクリとさせる。


「そうだ、ハグをしよう。海外では挨拶でありながらある程度接触が発生するハグなら、はじめの一歩として悪くはないはずだ」


「なるほど……」


 目的が俺の女性に対する欲を満たすことなのであれば、こういった軽度の接触でも多少は効果があるはずである。

 そのことも追加で説明するとどうやら彼女も納得したようで、早速ハグをすることになった。


 ちなみに自慢ではないが俺は女性とハグすらしたことがない。

 そんな中、相手はスタイル抜群で目を見張るほどの美少女である。正直ドキドキが止まらない。


 リーリェと俺は立ち上がる。そしてテーブルを避けるように互いにゆっくりと近づく。


「では、いきますね」


 言葉の後、リーリェは最後の一歩を踏み出し、俺に身体を預けた。俺は受け入れるように彼女を優しくギュッと包み込む。


 瞬間、俺の全身を温かさと言いようのない柔らかさ、そして驚くほどに良い匂いが包み込む。


「ハグ。初めていたしましたが……すごく心地の良いものですね」


「あぁ、そうだな……」


 頷きながら、俺は内心ひどく焦りを覚えていた。


 ……まずい。忙しすぎてここ何ヶ月か1人で致していなかったから、俺の愚息が──あっ。


「……? 雄馬様、私のお腹に何やら固いものが」


「言うな」


「もしかしてこれが──」


「お願いだ見逃してくれ」


「はい」


 こうして俺の新たな性活が始まった。


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