新サキュレス物語11(リグレットの解消編)

岡本義剛

第1話 2つの顔を持つ女 前編

「右側神の世界」では「淫魔王グン・ペイン」を構成する「淫魔王の第8アニマス」で有った「鹿島瑠璃(かしま・るり)」が「神の代替わり」を迎えると、この世界では「第3神」で有った「淫魔王」を取り込んで、この世界では新しい「第2神」と成る「原初の魔神ルリス」に、変わりました。今回の物語は、そのルリスが最後の「神の代替わり」を迎えて「右側神ルリナス」へと、変わったときの「初めての物語」に、成りました。


「笛田(ふえた)ヨウジ」は、仕事帰りの深夜に成ると、いつも決まって「凄い美女」との遭遇をしていました。その女性は、世に言う「綺麗系のお姉さん」でした。彼女は、いつもハイヒールを履いていました。その為、背は高めでした。彼女の容姿は、肌色が白くて、この世界の「美女の基準」を充分に、満たしていました。眉毛は薄くて、綺麗な細い眉でした。そして目は切れ長で大きくて、瞳の色が茶色でした。また鼻筋が高くて、唇の色が朱色で、薄くて細長いものでした。


髪は、栗毛色の直毛で有り、髪型は真中から、やや左寄りに分け目を付けて、左右に髪を長く伸ばしていました。彼女は、細身の美女でした。しかし胸の膨らみが、とても大きくて、魅力的な女性に見えました。彼女は、深夜の1人歩きを、していましたが、真夜中が、とても似合う美女でした。


服装は「スーツ姿」が、多かったのですが「ナイトドレス」のような服を、着ているときも、有りました。彼女は、とても綺麗な女性でしたので、彼が気にしない訳が、有りませんでした。また彼女は「仕事帰り」なのか或は、これから出勤なのか、それが良く、分からない状況でした。


それから「笛田ヨウジ」の、その帰り道には、もう1人の「別の美女」との遭遇も、有りました。その女性も、彼がいつも好意を持って見掛けていた美女とは、背格好が良く似ていました。髪形も同じように見えました。しかし「顔付きが、違っていたので、別人だろう。」と、思われました。そして、その女性も「凄い美女」でした。


その女性の顔立ちは、誰からでも好かれそうな、可愛い顔をしていました。そして、いつも微笑んでいるような印象を、受けました。彼女を見ていると「深夜の1人歩きで、大丈夫だろうか。」と、思わず心配してしまう様な、娘さんでした。しかし彼は、その彼女を既に何回も見ていたので「問題は、無いで有ろう。」と、思っていました。この町は、治安が良い場所でした。


深夜に、美女が2人。「笛田ヨウジ」は「良いねぇ。」を、呟いていました。揃いも揃って、こんな夜更けに何を、しているのだろうか。「夜だから〝水商売″でも、しているのかな。」彼女達が、何処かの店の「ホステス」で有ったならば「自分も、そこまで行ってみたい。」と、思いました。しかし、あんな飛び切りの美女を、置いている店で有れば「高いので有ろう。」とも、思っていました。


今頃に成って「笛田ヨウジ」は、今度あの美女を見掛けたら「追跡してみよう。」と、思いました。彼は、我慢が出来無く成っていました。彼が「追跡しよう。」と思うように成ると不思議と、彼女達との遭遇が無く成りました。それでも数日が経つと、あの「可愛い顔の美女」との遭遇が、有りました。今日は、月曜日でした。彼女も彼とは、言葉を交わしたことが、有りませんでした。しかし彼の顔を覚えているようでした。


早速、彼は追跡を開始しました。彼女は、繁華街の方に向かっていました。そこは、深夜でしたが、人通りが多い場所で彼女は、こぢんまりとした店に入って行きました。見ると「スナック・いざよい(十六夜)」と書いて有りました。何と彼女は「ホステス」でした。しかしそこは、余り高そうな店には見えませんでした。しかし念の為、今度「お金を持ってから、入店しよう。」と、彼は思いました。


「笛田ヨウジ」は後日、本命で有る「あの綺麗系の美女」との遭遇を、待ちました。すると金曜日の夜に成ると、待望の彼女との遭遇が、有りました。彼は、彼女を見掛けると、バレ無いように、追跡を始めました。彼女も、繁華街の方を、目指していました。彼は、この道筋を知っていました。彼女も、人通りが多い場所まで行くと、あのこぢんまりとした店に、入って行きました。見ると「スナック・いざよい(十六夜)」と、書いて有りました。


あの2人は、同じ店で働いていた「ホステス」でした。彼が店を探っていると、店から彼女が、出て来ました。彼女は、知っていたのか、彼と目が合うと「私、ハルミと言うの、今日寄って行かない。」と、言われました。完全に、彼の追跡が、バレテいました。彼は咄嗟に「今度、お金を持ってから行くよ。君は何曜日だったら居るのかい。」と、言うと「私は、月・水・金が担当なの。その日だったら、この時間から来ているから、必ず来てね。」と、言いました。彼女は、そう言うと恥ずかしかったのか、直ぐに店に戻って行きました。


「笛田ヨウジ」の憧れの彼女は「ホステス」でした。しかしやっと会話をすることが出来ました。これは大きな進展でした。彼は「やったー。」と心の中で叫んでいました。今度、彼は貯金を下ろして、お金を用意してから彼女が待つ「スナック・いざよい」に、行こうと思いました。そこは彼の家からは、そう遠く無い場所に、在りました。その「スナック」に、行くと成ると随分「飲み屋」行くのが、久し振りでした。


「笛田ヨウジ」は、照れ臭かったので来週の水曜日に、その「スナック」に、行こうと思いました。月曜日では無く水曜日でした。そして水曜日が来ました。彼は、お金を持つと早速、彼女が待つ「スナック・いざよい」に行きました。彼は「いつも彼女と遭遇する時間帯迄、待ってから行こうか。」と、思いました。しかし、その日は残念ながら、彼女を見掛けませんでした。


そして早速「スナック・いざよい」に、着きました。そして入店しました。すると、中から「いらっしゃいませ。」と言う、綺麗な女性の声が聞こえて来ました。店内は、意外な程、広くて清潔感溢れる場所でした。店内には「笛田ヨウジ」の、お目当ての彼女以外、2人のホステスが在籍していました。


彼は、店内の席を案内されました。しかしカウンターを見ると、あの可愛い顔の方の、美女が既に、立っていました。彼は「誘蛾灯」に、引き寄せられるように、そっちの「カウンター」まで、移動しました。すると彼女は「やっと来てくれたのね。」と言う表情で、彼を見ていました。


「僕は〝笛田ヨウジ″と、言う者です。ハルミさんは、月・水・金は、必ず来ていると言ったけれども今日は、まだ来て居ないのですか。或いは今日は、休みですか。」と、話し掛けました。すると、その娘は驚いたように「ハルミさんですか。実はハルミさんと私は、交代・交代なのですよ。今日は私で御免なさい。私はハルコと言います。私も、宜しくお願いします。」と〝ハルコ″と名乗った、あの可愛い顔の女性は、自分の名前を名乗りました。


しかし、この店の年配のマスターは、ハルコのことを「ハルミ」と呼んでいました。そのことを「笛田ヨウジ」は、彼女に聞くと「伯父さんは、区別がつかないのよ。いつも一緒の呼び方なの。」と、答えました。この店のマスターは「ハルコの伯父さんだ。」と、言いました。「彼女の母親は、マスターの妹だ。」と、教えてくれました。また、ハルコの母親が、この店を手伝っていた関係上、彼女も手伝うように、成りました。


ハルコと仲良く成った「笛田ヨウジ」は、ハルミとは、あの追跡がバレタ晩に、少し会話した間しか、接したことが無かったのですが、ハルコとハルミは「とても感じが、似ている。」と思いました。そのことも有り、ハルコに「貴方とハルミさんは、親戚ですか。」と、聞いてみました。するとハルコが言いました。


「私とハルミちゃんは、背丈が一緒で髪型も似ているので、良く間違われますけど、他人です。」と、言いました。それから、彼女が言いました。「私とハルミちゃんは、顔が全然違うでしょう。だから違うのです。」と、言いました。「笛田ヨウジ」は、ハルコがそう言ったので、そうゆうことにしました。彼は無難な会話を、ハルコとしていました。そして彼に取っての本題を、彼女に聞いてみました。


今日は、水曜日でしたので「金曜日に成れば、ハルミさんは来るのですか。」とハルコに聞くと「彼女の体調が良ければ、彼女が来て、良く無ければ私に成るの。」と、言いました。彼女には「持病が有る。」のかと「笛田ヨウジ」は、知りました。そして彼は、来店したので「今度、行く前に電話をして、ハルミさんだったら来るよ。」と、言いました。するとハルコが、へそを曲げて「私じゃ嫌なのね。」と、拗ねてしまいました。すると彼は、慌てて訂正すると「君でも全然問題は無いよ。」と、宥(なだ)めました。


「笛田ヨウジ」は、金曜日も来てしまいました。しかしその日もハルコでした。彼は、ハルコ相手に雄弁に語りました。そのとき偶(たま)に、会社からの帰り道でハルミとハルコを、見掛けたときのことを、話しました。するとハルコも彼のことは、良く覚えていたようで「私も貴方が、気に成っていたの。」と、言ってくれました。


それは、中々嬉しい発言でした。そしてハルコが言うには「ハルミちゃんも、貴方のことを気にしていた。」と、言ってくれました。彼は、その言葉を彼女から聞くと、天にも昇るような、とても嬉しい気分でした。彼は「両想いか。」と「有頂天」に、成りました。しかし、それはホステスの戦略でした。その晩もヨウジは、ハルコとの楽しい一晩を、過ごすことが出来ました。


「笛田ヨウジ」は、週明けの月曜日も、来てしまいました。今晩は、待ちに待った、ハルミが来ていました。彼は喜んでハルミに声を掛けました。すると彼女はニッコリと、微笑んでくれました。改めて彼女を見ると彼女は、物凄い美女でした。明らかに、別空間の存在のように見えました。彼女の立ち位置は、ハルコの居た場所と、寸分違わない場所に、立っていました。


その晩が2人に取っては、初対面でしたので、名乗り合いをしました。彼は、自分の名前を「笛田ヨウジです。」と伝えると、彼女は「黄瀬(きせ)ハルミよ。」と、教えてくれました。彼女のフルネームは「黄瀬ハルミ」でした。何とも言えない「良い名前だ。」と、彼は思いました。


ハルミとハルコは、互いのコミュニケーションが、大変上手く取れているようでした。その為「笛田ヨウジ」と、ハルコのやり取りを「全て」知っていました。そして彼は、まだ数回しかハルコとは、会ったことが有りませんでした。しかし彼女達は、ただ顔が違うだけで全てが、一致しているように見えました。

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