―天の計画・地の衝動― 【カクヨムコン10短編 (エッセイ・ノンフィクション短編部門) 応募作品】
悠鬼よう子
ホロスコープと私—因果を探る冒険
私がホロスコープ(星の配置を表した天体図)に興味を持ち始めた理由は、実は「因果を探る」という科学的な精神から来ています。一般的には、ホロスコープや占星術は非科学的、あるいは占いの一部として捉えられることが多いですが、私はその背後にある膨大な観察データと、そこから導き出される統計的なパターンに強く惹かれました。星々の運行が人間の行動や感情に影響を与えるという考え方は、一見すると科学と相容れないように見えるかもしれませんが、実はそれも一種の因果モデルとして捉えることができるのではないか、という考えが私の興味を引いたのです。
ホロスコープにおける「因果」とは、単に星座やハウスの位置を知ることではなく、星の配置やアスペクト(2つ以上の天体間の角度)が実際にどのような影響を及ぼすかを観察し、そこからパターンを見出していく作業です。この過程は、科学的な実験に似ていると感じます。もちろん、それが完全に科学的に証明された現象とは言えませんが、「観察→仮説→検証」のプロセスが存在する点に、私は非常に魅力を感じています。
例えば、「水星逆行」という現象を考えてみましょう。水星逆行とは、天文学的には水星が地球から見て逆行するように見える現象のことです。この時期、占星術ではコミュニケーションや計画、テクノロジーに影響を与えるとされています。この話題を耳にしたことがある方も多いでしょう。私も最初は「本当にそんな影響があるのか?」と疑問に思いました。
そこで、過去のデータを集め、水星逆行の期間にどのようなパターンが見られるのか調べてみると、興味深い結果が出てきました。例えば、スケジュールが思うように進まなかったり、誤解が生じやすかったり、コミュニケーションの混乱が目立つといった事象が、特定の期間に集中して起こることがあるのです。もちろん、これが因果関係を証明するものではありませんが、「観察→仮説→検証」というプロセスを通じて、科学的な予測手法にも通じる部分があると感じました。
占星術は、統計やデータ分析を通じて未来を予測する方法であり、完全に「科学的」とは言えませんが、その曖昧さや非定型的な推論が非常に魅力的です。私はその曖昧さの中に、ロマンや知的好奇心を感じているのです。そして、ホロスコープを通して未来を予測する楽しさと、星々の動きが人々の行動や感情にどう影響を与えているのかを探る喜びは、まさに私が日々追い求めている知的冒険そのものです。
ホロスコープが未来を予測するための道具としてだけでなく、過去の出来事や自分の経験に照らし合わせることで自己理解を深めるためのツールでもあることを、私は強く実感しています。星の配置やアスペクトを知ることで、過去の自分の行動や心理状態がどのように影響されていたのかを考えることができ、そこから新たな洞察を得ることができるのです。
ホロスコープが完全に科学的なものではないかもしれませんが、その不確実性の中にこそ、私は深い魅力を感じています。観察と分析を通じて、新たなパターンを見つけることができるこの知的な冒険は、私にとって無限の可能性を秘めています。
―天の計画・地の衝動― 【カクヨムコン10短編 (エッセイ・ノンフィクション短編部門) 応募作品】 悠鬼よう子 @majo_neco_ren
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