人間の性
長い間、男はその山へと通い続けていた。
目当ては、幻と噂される蝶。
ここ数年、目撃情報すらないその蝶。
その蝶の美しい羽は七色に輝き、
ゆったりと飛ぶ姿は、まるで宙を舞う宝石のようだという。
昨今の環境破壊や採集家の乱獲で、
その数は激減し、蝶は絶滅に瀕している。
だから、一度でもいい。
その姿を一目見たいという一心で、男は山に通い続けていたのだ。
そして、ついに──。
夕陽の差す木漏れ日の中、その蝶は舞っていた。 男は息を呑み、目を見開いた。
美しい。 その姿はただ、美しかった。
その夕方。 男の標本箱には、あの蝶が静かに横たわっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます