最後の大きなもの
最後の大きなものが死んだ。
それは、名前のない巨獣だった。
角があり、羽があり、草原を歩き、海を渡った。
いつからいたのか誰も知らず、
いつかいなくなることも信じていなかった。
けれど、大きなものは死んだ。
死んだ場所では、花が咲き、風が止まり、
空が静かになった。
学者はこう言った。「地球が、もうこれ以上の重さに耐えられなくなったのだろう」
子どもはこう言った。「もっとやさしくしてあげればよかったね」
それから人間たちは、無言になった。
自分は、大きなものだったのか、
それとも小さなものだったのか、
そんな問いの大きさが、徐々に彼らを飲み込んでいったからだ。
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