第33話 やっぱ頼りになるな!

学校の廊下を歩いていると、クラスメイトたちが何やら賑やかに話しているのが耳に入った。どうやら来週の学校イベントの準備について議論しているようだ。体育館の一角には、模造紙や画用紙、筆記用具が散らばり、みんなが熱心にアイデアを出し合っていた。


「山田、こっち来てくれよ!」


声をかけてきたのは田中だ。僕が近づくと、彼は模造紙を指さして言った。


「この出し物の準備なんだけどさ、どうやって進めたらいいのかイマイチわかんなくて……。お前、こういうの得意だろ?ちょっと手伝ってくれよ。」


「得意ってわけじゃないけど……まぁ、見てみるよ。」


僕は軽く肩をすくめながら模造紙に目を通した。書かれている内容は、クラスで予定しているパフォーマンスの概要と、必要な準備物のリストだった。アイデア自体は悪くないが、どうやら具体的な手順や役割分担が曖昧なまま進められているようだった。


「これだと、みんなが何をすればいいのか分かりにくいかもな。」


僕がそう言うと、田中は頭を掻きながら苦笑いした。


「だろ?なんとかならねぇかな、これ。」


「うーん……よし、まず全体の流れを整理してみよう。で、それを基に役割分担を決める感じでどう?」


そう提案すると、周りで話を聞いていた他のクラスメイトたちも頷いた。


「それいいかも!山田、まとめてくれる?」


「俺たち、手伝うからさ!」


自然とみんなの視線が僕に集まる。内心少しプレッシャーを感じたけど、ここでしっかりやらないとクラス全体が迷走しそうだった。


「わかった。じゃあ、まず全体の流れをざっくり決めよう。みんな、アイデアがあったら教えてくれ!」


僕がそう言うと、あちこちから意見が飛び交い始めた。それをノートに書き留めながら、内容を整理していく。


「なるほど……じゃあ、最初にオープニングで簡単な挨拶を入れて、次にパフォーマンスを披露する。で、最後にアンケートとか感想を書いてもらうってのはどうだ?」


僕が提案すると、みんなが口々に「いいね!」と言ってくれた。


「よし、それで決定だな。じゃあ、これを基に役割分担を決めるぞ!」


僕はその場で簡単な役割分担表を作り始めた。装飾係、司会係、パフォーマンス準備係――それぞれに具体的なタスクを割り振ることで、全体の流れがぐっとスムーズになりそうだった。


「これでどうかな?」


表を見せると、みんなが頷きながら感心したように口を開いた。


「さすが山田!やっぱ頼りになるな!」


「お前がまとめると話が早いよ!」


褒め言葉に少し照れながらも、僕は次のステップに進むための声をかけた。


「よし、じゃあそれぞれ準備を進めてみて。困ったことがあったら声かけてくれ!」


みんなが笑顔で散らばり、それぞれの作業を始めていくのを見て、僕は少しホッとした。なんとか上手く進みそうだ――。

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