最初で最後の…
もうずっと以前の話だ。
いま思えば下らないことで仲違いし、それ以降しばし疎遠となっていたある友人と、私が再会するきっかけとなったのは、その彼が入院したという報せを、共通の友人から聞いたことだった。
それゆえ後日、私は他の友人も含め計3人で、その彼の入院している病院へ見舞いに行ったのだが…まあ、すでにお互い憤りも消えていた為、普通に話す事も出来たし、また見舞いに来ると約束して、その日は別れた。
が、結局それが私にとっては、最初で最後の見舞いとなってしまった。
私との再会からしばし、その彼が、まだ20代の若さにも、この世を去ってしまったからだ。
ちなみに、私たちが簡単に仲直り出来たのも、かえって私と彼が、さほど親密な仲ではなかったからかも知れない。
そして、その所為か私は、ショックを受けつつも彼の死を冷静に受け止めることが出来た。
ただ『最後は、息子は泣いていた』という、彼を看取った母親の言葉は、なぜかずっとこの脳裏に焼き付いていて、いまなお私を悲しませている。
その友人の冥福を心より祈る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます