魔王のいなくなった世界で僕たちは

ふたくちりょう

第1話 魔王没す

「これで終わりだぁー」

 勇者の剣が魔王のコアを貫いていく。

 コアが砕けると同時に魔王の身体は崩れていった。

 そこに残されたのは、「魔王の剣」と「わたりの書」「コアの残骸」だけだった。


 勇者は精もこんも尽き果てた様に倒れ込んだ。

「やった。やったぞ。これで俺は、…」

 その時何者かが近づいて来る気配があった。

 勇者は慌てて「わたりの書」を懐に隠した。


「アレン大丈夫か」

 ドアを蹴破り戦士のデュークが飛び込んで来た。それに続き聖女のアリアと魔法使いのマヤ、シーフのゴメスが部屋に入って来た。


「やったのね。魔王を倒したのね」

「アリア、アレンに癒しを早く」

「魔族どもが一斉に居なくなったぜ。魔王の結界が無くなったから、魔王城の崩壊し始めるゼィ。さっさとずらかろうゼィ」


「ヒール」

「アレン立てるか?」

 アレンが立ちあがろうとする所をデュークが肩を貸し、出口へ向かった。

「アリア何故グランヒールとかリカバリを使わないの?」

「私も限界なのよ」

 アリアとマヤも出口へ向かった。


「先に行ってくれ」

 ゴメスは玉座の背後の隠し部屋に入って行った。初めからそこに隠し部屋があることを知っていたかの様に。


 誰も居なくなった、玉座の間。

「あーあ。またやり直しかぁ」

 どこからか現れた四対の黒白の羽を持つ者が、魔王の剣とコアの残骸を持ち去って行った。



 魔王の城から脱出したアレン達が振り向くと、城は崩れ、崩れた所から消え去って行った。


「ゴメスは?」

「俺っちはここにいるゼィ」

 ゴメスが木立の影から現れた。

「わたしたちより後ろに居たはずなのに何でそんな所にいるのよ」

「ちっちっちっ、そりゃぁ企業秘密ってもんだゼィ」

 ポーズを取るゴメスに軽くムカついたマヤが杖で殴ろうとするが、ゴメスはヒラリヒラリとかわしている。


「いい加減にしなさい。さっさと帰るわよ」

「そうだな。アレンを早く医者に見せないと」

 アリアが苛立ちを隠さずさっさと立ち去り、デュークはアレンを背負って後に続いた。




「はい。魔王様一巻の終わりっと。まあ、やらせみたいなもんだけどね」

「バックアップも取った事だし、転送始めますか」

「器が育ちきってないから、これ以上入れたら壊れちゃうよ」

「じゃあ、インデックスだけ作って残りはストレージに入れといて。パーミッションの設定も忘れないでね」

「じゃ、ダウンロード開始」




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 いきなりやられるんかーい。

 闘いの描写も無いんかーい。

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