分かれ道
さめ犬
二つ目の交差点。
最近、私は気づくとあなたともし今も付き合っていたら私は幸せだったかなと、一人でに考えている。
もちろんこの質問に意味がないのはわかっている。でも同時にこうも考える。付き合っている時、私は本当に幸せだったかなって。
そう考えている時点できっと、答えは出ている。それが私たちの物語が終わった理由だって。
別れは突然に訪れた。なかなか返ってこないLINE。不安だった。「冷めた?」「別れよう」「うん、わかった」。
半年続いた関係は突然形を失って、落ちるところを失った私の心は、果てしない闇に堕ちていくかに見えた。
こんなに一言で簡単に終わってしまうなんて。そう思ったけれど、「付き合おう」。その一言で始まった関係だから、「別れよう」。その一言で終わるのも自明の理のように思えた。
私は泣かなかった。震える手に、混乱する頭と空虚な心で支配された私は、泣けなかった。平静を装い、いつも通りの日常を取り戻そうとした。
けれど、そううまくはいかない。気づけば目線は彷徨っている。隣にいないあなたを探して。どこか、遠くに行ってしまったあなたを、心はまだ求めていて。手に残ったあなたのぬくもりも、耳朶を打つあなたの好きという声も、ぎゅっと抱きしめた時に香るあなたの匂いも、全てが記憶の中に溶けていく。
一週間がたった。毎日別れたんだ、もう会わないんだ、忘れるんだと繰り返し自分に言い聞かせた。限界だった。会いたかった。納得ができなかった。とうに遅いのに答えを求めた。「会いたい。別れたことに納得ができない。話したい。」答えは「NO」だった。それでも話すことになった。これでよかったのかはわからないけれど。
ついに会う日になった。
朝一で学校に向かい、あなたと会った。全く変わらずに、むしろ何も気にしていなそうに振る舞うあなたが、とても虚しかった。
聞きたいことがたくさんあった。どう思っていたのか、どうして振られたのか、今後どうするのか。あなたは始終どうでも良さそうに聞いて、話はそれだけかと言った。私は傷ついた。
「興味がなくなった」と、あなたは言った。それは私の心を絶望で埋めるのに十分な言葉だった。嫌われたほうがマシだとさえ思った。何でそんなにサッパリしているのかわからなかったと同時に、そういうところに惹かれたんだとひどく場違いな感想を抱いた。
何を言っても暖簾に腕押しだった。あぁ、私はこの人に時間を使っても意味がないのだと、その時初めて気がついた。悲しかった。
最後にあなたに、いつあなたの親に別れたことを言うの?と聞いた。あなたはあまり気乗りしなそうにまあいつか?と言った。「なら私から挨拶するね。」といって義両親に感謝のLINEを送った。
二人の物語はここで終わり。二人の道はここで別れた。たまたま道が一緒だった話し相手を好きになってしまった。ただそれだけだった。でも、今でもあなたの影は、色濃く私にまとわりついて離れない。女々しくてごめんね。でも、ちゃんと好きだったよ。ありがとう。
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