暴食戦姫の食べるが勝ち! ~「豚は消えろ」と人気パーティから追放された底辺配信者、ダイエット目的でダンジョンに潜ったら弱肉暴食スキルが開花して伝説級の強さを手に入れる~

海野アロイ

第1章:入谷イリア、人気パーティから追放される

1.プロローグ:イリア、人気配信パーティからの無慈悲な追放される。爆食戦姫の伝説はここから始まる!

1.プロローグ:人気配信パーティからの無慈悲な追放、彼女の伝説はここから始まる!



「イリア君、君は明日から、来なくていいよ」


「は、はい!?」


 たった今、私こと、入谷イリアはダンジョン探索のパーティから追放を宣言された。

 それも、リーダーである円城えんじょうユウト先輩に。

 約一年間、苦楽を共にした仲間だと思ってたのに。


「君、役立たずなんだよね。消えてくれないかな?」


「あ、あのぉ、私なりに皆さんのために頑張って来たんですけども。お料理とか、その」


 私の学校ではランダムでパーティが組まれる。

 そして、ダンジョン探索の成績がそのまま個人の成績としてカウントされるのだ。

 パーティから外されてしまったら、当然、成績も急降下することになる。

 場合によっては留年の危機。

 考えを変えてもらえないかと説得を試みるのだった。


「頑張って来ただって? 君はただ料理を作ってただけじゃないか。まったく笑えるよ」


「戦闘にも探索にもまったく役に立たない、雑魚だよネ。そもそも、私、あんたの料理きらいネ」


 私の言葉をさえぎって、円城先輩が冷笑する。

 そして、それに続くのは、私と同じ学年の羅桃ルオタオだ。

 彼女は中国からの留学生で、罠の解除や斥候みたいな仕事をしている。

 すごく腕がいいし、すこぶる顔がいい女の子だけど、性格は私とはあまり合わなかった。

 それにしても、頭ごなしに私の料理を否定するじゃないか。

 戦闘には参加できないけど、その分、お料理や素材の解体でバックアップしていたのに。


「あ、あのぉ、この件について、蔵前姉妹はどう言ってるんでしょうか」


 実を言うと、円城先輩のパーティにはあと二人、パーティメンバーがいる。

 姉妹で探索者をやっている、その二人と私は妙にウマが合ったのだ。


「あいつらの意見なんかどうでもいいんだよ。僕がパーティリーダーなんだから。誰も僕には逆らえないんだよ。わかったかい? 料理しかできない、役立たず君」


 円城先輩がふっとバカにするように笑う。

 その態度は、私の胸に突き刺さるようだった。

 まるで私の存在が無価値だと突きつけられるような感覚。胸の奥が痛い。

 

「や、役立たずなんてあんまりです。お料理はみんなのパフォーマンスを考えて……」


 私がやっていたのは雑用みたいに思えるかもしれない。

 だけど、ダンジョンという限られた環境の中で、お料理をすることにプライドを持ってもいた。

 家族の経営していた定食屋では、コック見習いをしていたこともあるのだ。


「君の力を借りなくても、食べ物はコンビニ行けばあるし、別に困らないんだよ? 荷物は僕のテイムした魔物が持ってくれるし」


「あはは、自分を過大評価しすぎなんじゃないの? 自信過剰女ネ」


 二人はけらけらと笑う。

 ぐぅっと胸が苦しくなる。

 確かに言われてみれば、お弁当はどこにでも売っている。

 そして、円城先輩だけが持っている特殊スキルがあれば、荷物持ちなんていらないのだ。

 彼は人類のなかで唯一、魔物を操るスキルを持っているのだから。


「一年近く、僕らのパーティにいて勘違いをしちゃったんじゃないかな? パーティの力が自分の力だって」


「そ、そんなことないです」


「君のゴミスキルは一切、発動しないし、本当に僕らは貧乏くじを引かされたよ」


「それは……」


 私は何も言い返せなくなってしまう。

 私は料理スキルと、もう一つ『弱肉暴食』というスキルを持っている。

 だが、そっちは何をやっても発動しない。


「料理しかできない役立たずをつれてダンジョンに潜るなんて、もう限界なんだよ。じゃ、もういいかな? そろそろ僕のパーティから出て行ってくれ」


 ユウト先輩は出口の方を指し示す。

 すなわち、荷物をまとめて出て行けってことである。

 ダンジョン探索で色々なものを発見したけど、私物は調理道具だけだ。

 得られた素材はすべてパーティというか、殆ど円城先輩のもので、私に所有権はないということになっていた。


 ここにアズキとモナカがいたら、どんなことになっていただろうか。

 もしも、二人にまで冷笑されたら、私は学校辞めるぐらい落ち込んじゃいそう。


「そ、それではお世話になりました……」


 私は声を振り絞って礼を伝える。

 正直言うと、もっと抗議してもよかったかもしれない。

 料理をすることだって大事な仕事だって言いたかった。

 だけど、私の心の糸はもう完全に切れていた。

 悔しくて、悲しくて、一刻も早く、立ち去りたかった。


「あ、そうだ、一つだけ言い忘れたことがあったよ」


「な、何でしょうか」


 出て行こうとしたときのこと、円城先輩が声をかけてくる。

 バカな私はひょっとしたらねぎらいの言葉をかけてくれるんじゃないかと思ってしまう。


「君、もっと痩せた方がいいよ。僕らのパーティには不釣り合いだったからね。配信中に豚君を映らないようにするために苦労したし」


「な」


 その言葉は私の胸にとどめとばかりに突き刺さる。

 彼の目は私をまるで虫けらのように見下していた。


 だけど言い返せない。

 事実、私はちょっと丸い体型をしていた。

 食べる量は普通だと思っているのだが、入学してから体重は10キロ以上増えていた。

 気になると言えば、気になるだろう。

 でもこんな場面で言うべき言葉なんだろうか。

 面と向かって、豚なんてひどすぎる。

 円城先輩のことは尊敬だってしていたのに。


「あはははは、図星で固まってるネ。さぁ、消えるネ、豚女」


 愕然とする私を嘲笑いながら、羅桃ルオタオは私を追い出した。


「あはははは、円城先輩、ひどいネ、今のぉ!」


「だって、しょうがないじゃないか、本当のことなんだから。豚は豚だろ」


 廊下に出ると、後ろから大きな笑い声。

 私を追い出したことに何の未練もない様子がひしひしと伝わってくるのだった。


「そうだ! 今から配信するネ! メンバーが一人いなくなりましたって」


「しょうがないなぁ。そもそも、誰も彼女の存在に気づいてなかったと思うけど」


「あはは、円城先輩、ひどいネ!」


 挙句の果てには、私の追放をネタに動画配信をするという。

 対面でバカにされただけじゃなくて、動画のネタにさえされてしまうなんて。

 耐えきれなくなった私は廊下を走り出す。


「痩せてやる! 私だって!!」


 私の瞳からはぼろぼろと涙がこぼれてきた。

 客観的に見たら、私は役立たずスキルを持ったお荷物なのかもしれない。


 だけど、ここまで言われる筋合いがあるんだろうか。

 ぐぅっと奥歯を嚙みしめて、私は決意をする。

 ぜったいに、ぜったいに、痩せてやるんだって。



−−−新連載にあたってのおねがい−−−


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 今後に期待の意味で☆みっつ。


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 今後の執筆の糧にしていきます。


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