ギャルゲーに転生した俺は主人公じゃなくてモブAだった

クククランダ

第1話 始まりの日


「……え?」


 俺はいつものように庭を散歩していると、ふと頭の中に色々な情報が流れてくる。昔の記憶、今の俺ではなく全く別人の記憶だが、それは他人ではない。


 俺だ。今の俺ではなく前世の俺。そしてそこでこの世界の記憶を思い出す。見たことある景色、ハイテクな機械に中世ヨーロッパのような街並み。そして記憶の中にもいる人間ではない種族。


「ここ、ギャルゲーの世界じゃねーか?」


 ここは俺がやっていたゲームによく似ている。というか、そのまんまだ。でも、俺は主人公ではない。俺は一回だけ登場するただのモブだ。


 しかも登場の仕方も中々の物だ。それは主人公たちに助けを求めるモブ。『魔物に襲われた! 助けてくれ!』と言って懇願するタイプのモブである。


「……ふふ」


「……はははっ!」


 俺は思わず笑ってしまう。だって楽しいじゃねーか! モブだろうが何だろうがこの世界では魔法があって誰でも使える。ヒロインと主人公のイチャイチャを見せつけられるのも……まぁ我慢しよう。



 むしろそこだけ我慢すれば良いんだ。そこさえ目を瞑れば自由度が高いゲームに来たような物だ。最高じゃんか。


「よし、そうと決まれば鍛えるか!」


 学園入学、つまり物語が始まるまでは一年くらいある。それまでにこの貧相な体を鍛えて、魔法を学ぶ。最初は肉体を鍛えた方が良いな。


「母さん、ちょっと俺外行ってくる!」


「夕飯までには帰るのよー」


 俺は家の外に飛び出して走り込みや筋トレに勤しむことにした。

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