無題

@09030816

第1話

彼女は、彼の持つバーボンの空き瓶を、見てた。

あなた、すっかり人が変わってしまったわね、何がロックよ!彼女はうついくちびるを震わせて、怒鳴った。。。彼はまなこを見開き、彼女を見つめてた、彼のグラスには、もうバーボンが無かった

部屋中響き渡る、パンクロックのギンギンして尖ったビートが、彼女を悩ませた、同時に部屋中を支配してたのは、たばこの煙と、奴の匂いだった、わたし達もう終わりにしましょ。。。彼女は何も言わない彼に向かって、言い放った。

彼女はガシャーンという物音に、ビクッとした一瞬の出来事だった、彼がやっと口を開いた、また、アイツ達だよ、イタズラだよ、部屋中に飛び散った窓ガラスの、それでいてキラキラ輝く光に、彼は笑みをうかべてた、彼女の為に飾ってあった、ニューヨークの置物が、同時に破壊された

アイツ達って誰よ!彼女は彼に詰め寄った。。。

彼はこう答えた、むかしのチームのヤツらが、俺たちカップルが平和に暮らしてると思って、妬んでいるんだ、もうチームには戻らないんだ。彼女は、何分か?数時間か?分からないが、やっと冷静に彼の淡々とした口元に見入った。。。彼はこう答えた、群れをなす事に飽きたんだ、君とゆっくり、朝はおきまりのトーストとカフェオレ、昼は、ロックとは無縁の落ち着いた、ランチタイム、夜はこの少し薄汚いけど、君にキスしてバーボンをちびちび飲む生活が一番なんだ。。。彼女も冷静に答えた、お酒はほどほどにしてね。あなたアレもやってるんだから、早死にするわよ。彼は新しく彼女が買ってきた、たばこのパッケージを開けた、君にも。。。彼女に一本たばこを手渡した、彼女が答えた、平凡が一番よ、あなたは長生きして欲しいの、ふたりはカーテンを開け、飛び散った、窓ガラスの破片と置物の残骸を、たばこをくゆらせて、片付けた、彼氏は言った人の寿命なんて分からないさ、俺はハチャメチャに生きてきたけど、君の言うとおり、少し落ち着こうかなってね、彼は冷蔵庫から、ハイネケンの瓶ビールを出して、ふたり分のベネチアングラスに注いだ。。。彼女と彼は、それをピスタチオと一緒に、胃袋におさめた、さぁわたし達、この部屋を出て、郊外の落ち着いた一軒家に住みたいな、犬とかも飼いたいわ。彼女の言葉に彼は小さく頷いた

家主さんには、ちゃんとふたり揃って挨拶に行きたいわ、そうだね、いい人生のエンディングを一緒に向かえよう、毎日がハッピーじゃなくてもいいさ、彼女は頷いた。


ハッピーな?エンディングって

なんだろう。。。。。。

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