木霊と女子高生の霊 3
抵抗する力の残っていない二人を、寄り添いあうように座らせる。
「……ごぇ……ん」
乾いた口から、最後の言葉が紡がれる。消え入るようなその言葉を、私は聞き逃さない。
「謝らないで良いよ。……私は、君たちを責めたりはしない。だからと言って、肯定はしない。君たちに同情はするけど、それでも、犯した罪が消えるわけじゃない」
穴が開いた葉っぱを取り出し、二体の霊が入るように穴から覗く。
「木霊よ、安らかな休息を」
二人の霊の足元から、ツタが生えてくる。ツタは二人の体に巻き付き、その体を蔦で覆い隠してしまう。しばらくしてから、徐々にそのツタが枯れてくると、二人の姿は無くなっていた。ツタの枯葉の中からは、注連縄が覗いている。
周囲の風景は、見慣れた駅に戻っていた。霊を払い終えたので、領域が収束したのだ。ホームの床には、私の落とした缶コーヒーが転がったまま。
床に置かれた注連縄をカバンの中にしまって背負う。
軽く、手を合わせる。これが唯一、生者である私が死者である彼女たちにしてあげられること。
「どうか、彼女たちが救われますように」
ホームに電車が近づく音が聞こえてきた。
木霊と女子高生の霊 霜桜 雪奈 @Nix-0420
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