恋愛ゲームの世界に転生した俺は、原作知識で全員を救います
@amaa
プロローグ
何かが壊れる音がした
ありもしない記憶を思い出す
「柊綾人?」
朧げながら頭に浮かんできた名前が妙にしっくりくる
まるで何百回も呼ばれた名であるかのようだった
何かが壊れる音がした
知らない記憶が一気に流れ込んでくる
「あ、ああ、ああああああああ」
柊陽子、黒髪の女が泣いているのが見える、
癌、病気で苦しんだ記憶が蘇る
柊沙耶、黒髪の少女がこちらを見て微笑んでいる情景が浮かんでくる
葵ヶ丘病院、病室で泣いている男が鏡に映る、
釘宮渚、黒髪の女と追いかけっこをしている
「あぁああああ」
一つを思い出す度に頭に激痛がはしる
先輩が慰めてくれている、
保育園で友達を作った、
沙耶がウェディングドレスに身を包んでいる、
誕生日を祝ってくれている、
渚とおもちゃを奪い合っている、
母さんが飯を作ってくれる
「ああああああああぁぁぁ」
誰かが自分の中に流れ込んでくる、それはインクのように僕を染め上げる、別の誰かへと
苦痛、無念、喜び、悲しみ、「彼」の経験を一つ一つ追体験していく
僕と彼が混ざり合う
「僕」と言うインクと「彼」というインクが混ざり切った
「ああああああああああああああ」
「俺」が死んだ、
その瞬間の苦痛が全身にはしる
全身を穿つような痛みと虫に食われたような痛みが同時に襲ってくる
手足の感覚が消える、意識が朦朧とする
母さんが泣いてる、沙耶が泣いてる
ごめんな
そこで「俺」の記憶は終わった
(痛い、頭が痛い一体何が起きたんだ?)
状況を整理するため、現状を把握しようとする
だが、記憶が錯綜している
(俺は誰だ、ここはどこだ?)
頭が熱いし痛い
何かを考える度激痛がはしる
記憶が錯綜して、自分が誰かも分からず
まともに考えることも出来ない
いや、わかるのだ、わかっているのだ自分が誰かはだが、二人いるのだ
「自分」が二人いるのだ
一人は七歳の少年で、もう一人は22歳の大人だ
俺はどっちだ?
「レオン!どうしたのですか!」
レオン、、、レオン・フォン・リューベック
七歳の少年、この体の主の名前だ
頭に激痛がはしり、鼻血がでる
柊綾人の記憶が、その名前に呼応するように一つの情景を呼び起こす
柊綾人が病院で、エーデを遊んでいる
画面に写っているのはブロンドの髪に青い目の少年—レオン・フォン・リューベックだ
(ここエーデの世界じゃねぇか)
オーバーヒートしている俺の脳が更なる新事実に耐えられなくなってシャットダウンしてしまう
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