第13話

まだ見ぬ未来の私の彼氏に嫉妬する理央に、顔をしかめた。

 私だって理央以外の人、どうやって好きになれるかなんてわからない。

 わかりたくもない。

 こんなにも愛しい人のこと、忘れられないし、忘れたくはない。


「理央がこの先も私とずっと一緒にいられますように」


 理央の体の向こう側、流れ落ちる星につぶやいた。


「理央がまた私に会いにきますように」


 次々におちる星に願いを込める。


「理央がいい、他に好きな人なんかいらない。理央じゃなきゃ、私は」

「すげえ、好きじゃん? 俺のこと」


 グシャグシャっと苛立つように前髪をかき、眼鏡を少しだけあげて、ゴシゴシと目をこする。

 それから、楽しそうに笑った理央は、寝転んだままの私を上から見下ろした。


「いつか、必ず、な?」


 いつかなんて、と駄々をこねて、首を振る私に「ごめんな」と微笑んだ理央がそっと近づいてくる。

 吐息がかかりそうな距離に、そっと目を閉じて。

 無色透明なキスを受け取った。

 温度も感触もないその行為に、理央の存在を、愛しさを必死に感じとる。

 どうして、もっと早く、この気持ちを伝えられなかったのだろう。

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