第8話

「理央、あの時、私に張り合ってたよね?」

「お互い様だろ?」

「うっ、確かに」


 寝そべったまま、出会った頃の話に花を咲かせる。

 理央は指で窓をつくり、星空を覗き、私は星座早見表を照らし合わせた。

 出会いから今日までの他愛もない話に笑い合う。

 理央と話していると、いつも時間が足りない。

 また明日ね、と翌日に持ち越して、昨日話したりなかった会話の続きをする。

 いつまでも、そうでありたかった。


「あの時さ、俺の話、嫌がらないで聞いてくれてありがとな」

「私の方こそ! 星のこと話せる友達いなくて、だからすごく嬉しかった」


 いつもなら、とっくに眠くなっている時刻なのに、今夜は朝まで起きていられそうな気がした。

 ゆるやかに、おだやかに流れるこの時間が永遠に止まればいいのにと、また星に祈る。

 永遠なんかないことは知っている。

 だけど、祈るのだ、祈り続けるのだ。


「奏とは、もっと色んな星を観たい。これからも、ずっと」


 理央の言葉にギュッと目を閉じた。

 私だって、そうだ。

 これから先も、ずっと理央と一緒に眺めていたかった。

 秋も冬も春も、理央と夜空を見上げたいって告白するつもりだった。

 それなのに、なんで?

 ねえ? どうして?


「観れたらいいね」


 振り絞るように出した私の声は震えていた。

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