第4話

こうして私たちは、今夜誰にも内緒で、高校近くの小高い丘の上に集合した。

 理央と二人で観る、きっと最初で最後のペルセウス座流星群。

 晴れますようにと数日前からテルテル坊主を吊るしていた甲斐もあってか、満天の星空がプラネタリウムのように三百六十度グルリと見回せた。

 まるで暗闇に浮かぶ宝石みたい、なんて言ったら『あれは遥か昔の光』だと言われてしまうかな?

 横目で伺った理央の横顔、眼鏡フレームの枠から覗いた瞳に映るキラキラ星。

 不意に理央が私の方に顔を向けた。

 じっと見惚れていたのがバレそうな気がして、慌てて話題を変える。

 

「あ、ねえ? 理央、シート持ってきた?」

「うん、持ってきた、えっと、あれ?」


 ゴソゴソと探るリュックの中、一緒に探しこもうと覗き込んだら。


「何にもないじゃん?」


 空っぽのリュックを見てプッと噴き出した私に、理央は苦虫をつぶしたように眉をしかめて、ガックリと項垂れた。


「おっかしいな、用意したと思ってたのに」

「何を入れたの?」

「雨具だろ? シートだろ? コンパスに星空早見表に、双眼鏡。虫除け、お菓子、ジュース、あと音楽……、無理だ。スマホもないじゃん」

「用意しようと思っていたものは、完璧だね」

「そうだろ? なんで入れてなかったんだろ」


 悔しそうに唇を噛んだ理央の隣に大きなシートを敷いた。


「どうぞ? もしかしたら理央が忘れちゃうかもと思ってたんで、大きいのを用意したんだ! 二人で寝ころんで、手を広げてもぶつからないほど大きいでしょ?」


 おかげで私のリュックの大半はこの四畳半ほどもあるブルーシートに占領されてしまったけれど、やはりこれにして良かった。

 ホラホラとシートを叩いて座るように促すと、まだ膨れた顔を見せながらも。


「お邪魔しまーす」


 靴を脱いだ理央が、シートの端っこに遠慮がちに座る。

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