第17話

「オレ、新木が笑って応援してくれてるの、練習中かなり励みになってて」

「ホントに?」

「うん、だから、その……。これからも応援しててもらえたら、オレとしてはめちゃくちゃ嬉しくて」

「応援する、したい、させて!」


 勢いよく食い気味に返事をする私に、気圧されたように、夕陽に照らされて真っ赤になったアオイくんから差し伸べられた手。

 いつもはボールをつかむ、その手をゆっくり握ったら、優しく握り返してくれて歩きはじめる。

 なんだか、とっても照れくさくて、お互いに紛らわすようにいつもの会話。


「新木の手、ちっちゃ。だから力無いんだな」

「アオイくんって、手は大きいよね」

「うん? 嫌味か? 身長だって少しは伸びたんだからな?」

「だよね、知ってる」

「あ、知ってた?」


 私たちは多分、今日より明日、もっと近くにいるね。

 あの日よりもずっとずっと近くで笑い合いながら、そんな予感にドキドキしてるのは、多分私だけじゃない――。

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ドキドキ 東 里胡 @azumarico

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