第16話

 バスケが好き、本当は自分でやりたいくらい。

 だけど、ほんのちょっと心臓が弱かったから激しい運動はしてはいけない。

 走るとすぐに息切れしちゃって、なにもできない自分だけど、人のことを応援するのは得意だった。

 だったら大好きなバスケ部を応援できるように、マネージャーになったのに。

 いつもドジばっかりしてた。

 それでも周りの皆に助けられて三年間やってこれて、大満足で終えるはずだった。

 高校に入ってまでマネージャーになったら、また皆に迷惑をかけるんじゃないかって。

 辞めるつもりだったあの日、アオイくんに出逢ってしまったんだ。


「アオイくんのプレイがもう一度見たくて、マネージャーしてたらまた会えるかな、って。それでね、」

「……、会えたな、すぐに」

「うん、会えた……」


 もう一度、会いたかったんだね、お互いに――。

 照れくさそうに笑ったアオイくんに私も微笑み返す。

 あの日がなければ、私達がもう一度巡りあうことはなかったかもしれないなんて。

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