ドキドキ

第15話

「だから、側にいちゃいけないってずっと思ってたんだ。アオイくんと私は仲良しだけど、いつか離れなきゃって勝手にそう思ってて」

「うん、勝手だな。オレの気も知らないで」

　アオイくんの頬がふくらんで、私に対して怒っているみたいだ。

「オレのプレイだけ？　新木が好きなのって」

「あ、の……」

　告白しようとしていた私の勇気が恥ずかしさでしぼみだす。

　黙りこくった私に、アオイくんは大きなため息をついて。

「ずるいよ、新木は。あんな風に人のことけしかけておいてさ」

「え？」

「あの、引退試合の日。新木に会ってなかったら、声かけられてなかったら、オレバスケ辞めてたんだからな？　背も伸びないし、負けてばかりだったし、オレって才能ねえなって。でも新木が続けてって言うから、高校でもやることにしたし。新木もどっかの高校でマネージャーやっててくれるかも？　いつか会えるかもって。そう思って」

　うそ、だ……。

　だって、私はあの日――。

「私だって同じだよ。アオイくんと出逢えたから、高校でも男バスでマネージャーしようと思ったの」

　もう辞めようと思っていた。

　あの日が最後だってそう思ってた。