私が守る!宇宙の未来!

Veroki-Kika

第1章

第1話 星降る夜に

「たっだいまー‼︎」

私・宙野ちゅうのほたるは,元気に扉を開け放った。

靴を玄関で脱いで,リビングのソファーに通学カバンをポスっと放り投げる。

そうして軽い足取りでくるっと1ターンした。

「ワクワクワック!もう待ちきれないよ!」

大声で叫んでも,誰にも怒られない。なんたってここは周りの家とはすこーし離れてるし,両親が今日から海外出張なんだよね!

「クロ〜。ミツ〜」

私はペットの犬,クロミツを抱き上げた。

クロはポメラニアンとチワワのミックス。

ミツはマルチーズとトイプードルのミックスなんだ!

「たのしみぃっ!」

なんで私がこんなにテンション高いのかって?

いつもこんなテンションじゃないよ。今日はね,特別な日だから浮き足立ってるんだ!

「今日は〜ペルセウス座流星群の日〜」

お弁当を作りながらも呟いてしまう。

なんたって今日は,8月のペルセウス座流星群の日なんだ!

実はね,私って星がだーいすきなの!

お父さんとお母さんが天文学者で,その影響で,私も星がだぁぁいすきっ!

それで明日は土曜だし,お弁当作って見に行こうと思ってるんだ!

もちろん,クロミツも一緒に!

「うぅぅぅっ!興奮が抑えられないよ‼︎」

今日何度目かの叫びをあげる。

お弁当には,おにぎりに,ブロッコリー。卵とベーコンの炒め物に,ポテトサラダ!

デザートには,うさぎさん型にしたリンゴを入れたんだ!

少し冷まして,私はウキウキとお弁当を風呂敷で包んだ。

リュックにお弁当,ドックフード。クロミツ用のちっちゃなお皿をドックフードと一緒にちっちゃいポシェットに入れる。

それから星座早見盤と図鑑,スマホを詰める。

それからテントとレジャーシートも入れる。

「よし!こんなもんかな!」

私は満足げにリュックをしめた。

今は5時30分。

今からは7時40分まで自由時間だ。

「クロ〜。ミツ〜。楽しみだね〜」

私が笑いながらクロミツのお腹をこしょこしょくすぐると,クロミツは嬉しそうに「ワンっ!」と鳴く。

「可愛い〜!!」

やっぱり癒される〜。

するとクロミツはうつ伏せに寝ていた私の背中に乗ってホッペをギュッと押し付けてくる。

「クロ〜ミツ〜。こっち見て〜」

私はタブレットでパシャっと写真を撮る。

「どれどれ〜」

画像をチェックすると,クロとミツがお互いのホッペをむぎゅうと押し付けて可愛くポーズを決めている。

「よく撮れてる〜!クロミツも可愛い〜」

そう叫ぶと,クロミツはもう1度可愛く笑った。

「さーてと!クロミツ〜。そろそろいくからバスケットに入ってね〜」

私はバスケットをソファーの上に置くと,クロミツがピョンっと入ってきた。

「よしよし〜いい子だね〜」

えーっと?

スマホ入れた。星座早見盤入れた。お弁当入れた。クロミツのご飯も入れた。

よし!

「行ってきまーす!」

ドアを開けて鍵を閉めると,ピューっと夜らしいひんやりとした風が首筋に当たった。

「ふぅ〜。やっぱ山の上の方に行くと冷えるだろうなぁ」

そう呟いて夜の道路を走り出した。

夜の静かに響く私の足音。

眩しいくらいに輝く星々。

「後ちょっとだ!」

私はさらに走るスピードを早めた。


「着いたー‼︎」

私は着いた山の上の方の天然芝の上に寝っ転がった。

起き上がってテントを広げて,テントの入り口にレジャーシートを敷いた。

「よし!バッチリ!」

私は完璧なテントを見て満足げに頷いた。

上手くできたんじゃない?

「やっぱりここはすっごい星…」

スマホを立てて動画モード。

「クロミツ〜おいで〜」

私はバスケットからクロミツを出した。

2匹は走ろ回って,追いかけっこしてる。

可愛い〜!

「あっ!流れた!」

流れた流れ星を見て,星座早見盤と星座図鑑を見て,目を輝かせた。

すごい!綺麗!

パクッとお弁当を1口。

クロミツのご飯も用意して,もう1度星に集中した。

シャンシャンと流れる星に,天の川。

「これは…ここまできた甲斐があったよ!」

カンドーだよ!


「お腹いっぱい…」

今は12時。流れ星もピークを迎えた頃だ。

初めてすぐよりも2倍くらい早いし多いよ!

「…あれれ?」

なんだろ…あれ…?

落ちてくる星の中にあっちこっち行って,普通よりもめっちゃ光ってるし!

「ウソ…なんかこっちに落ちてきてない⁉︎」

そう思ったのも束の間。

やっぱりその星は私の近く…小さな小川に落ちてきた。

「ウソウソウソ!あれって…」

私は焦りながら小川に近づく。

「女の子…」

どこからどう見ても落ちてきたのは,可愛い女の子だったのだ。

私の顔が,どんどん青くなるのを感じた。

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