エピローグ
その後、宮原先輩は犯人逮捕に貢献した事で署長より表彰されたが私は非番中であった為、表立って表彰はなかったけど、配属先の交番の班長がごちそうをしてくれた。
それから数日が経ったある日、交番で宮原先輩に銀行強盗の件で声を掛けられていた。
「しかし山名もついていないな非番中に銀行強盗に巻き込まれて、犯人逮捕に貢献したのに非番中で手柄はなし、班長からおごってもらうだけだもんな」
「私は別に、ただ人質のみんなが無事でよかったしそれで十分ですよ、銀行からも感謝の言葉をいただきましたし」
「またまた強がっちゃってーー」
ウザイなこの先輩、そう思っていたらあの時の若い男の人が訪ねてきた。
「あ、お姉さん、こんにちはここの交番だったんだ」
「こんにちは、あの時の!どうしたの?」
「いや、俺お姉さんにお礼が言いたくてさ、こうやって助けられたし、なんていうかありがとうございます」
「ううん、警察官として当然だよ」
「それでさ、今大学に通っているんだけど何がしたいか決まってなかったけど、警察官を目指そうと思う」
「ええ、私が言うのもなんだけど、結構大変な仕事だし、もう少し考えた方がいいんじゃない」
「俺さ、今までどうやって目立つかとかしか考えてなかったし、SNSを始めたのも目立ちながら稼げないかって理由だったんだ、でもお姉さんが俺達の為に身体を張ってくれて、なんか俺カッコ悪いって思ってさ、だから正しい手段で人を守れるように警察官を目指すよ」
思った以上にこの数日でいろいろ真剣に考えているようね。
「それじゃあ頑張ってね、いつか一緒に働けるといいね」
「はい!あ、それから柔道教室にも通う事にしました、そろそろ行きますね」
「うん、またね」
1人の若者が将来を見据えたか、巻き込まれたのは気の毒だけど、私がきっかけで良かったのかな?彼が交番を去ると今度はあの時の親子がやって来た。
「こんにちは、あの前はありがとうございます、この子の事も守ってくださり」
「そんな」
「この子がもう少し大きくなったら、あなたの事を話したいと思っています、もしよろしければ会ってくれますか?」
「ええ、私で良ければ」
「そうですか、それをお聞きしたかったので、それじゃあ失礼します」
「お気を付けて」
あの子が大きくなったらか、それまでにどんな警察官になっているのかな?
そう考えていると交番の電話がなった。
「はい、△◇交番、山名巡査ですか、少々お待ちください。山名、鈴木っていう男がお前にだが」
「私に、鈴木?はいお電話代わりました山名です」
「おお、やっぱりお嬢さんか、ほら銀行の時の」
「あの時のおじいさん、どうしたんですか?」
「実はまだ入院中でなあんたにお礼が言いたくて電話をしたんじゃ」
「ええ!無理しないでくださいよ」
「あんたがおらんかったらあの場でくたばっていた、婆さんにわしの死に目に合わせられないのは悔いが残ると思ったが、あんたのおかげでもう少し生きられそうじゃ」
「ああ、いえ、そんな」
「それじゃあな」
おじいさんの電話がきれたら私は宮原先輩に対し自分の思いを口にした。
「先輩、やっぱりみんなが無事助かって良かった、本当にそれで十分なくらい気持ちがいっぱいです」
「そうかよ、まあお前はそれでいいんじゃないのか」
ようし、これからもこの地域の人の為に職務を全うするぞ!
終わり
銀行強盗に巻き込まれた女性警官 burazu @ban5
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