第1話

「なに、君刺激が欲しいの?」


「へ?」


ええ!?私!?私に話しかけてる!?この人!!

え、なんでなんで?これってナンパ?世に言うナンパ??

ついに私にも春がきたのか…!夏だけど!少し暑すぎる春がきた!!!


「あの…大丈夫?」

はっ!いけない1人で色々妄想を…

私のいけないところだ。


「あ、はい、なんかすみません…。」


顔ちっちゃ、まつ毛も長…。肌も綺麗だし髪の毛もすごいセットされてる。

私と大違いだな。


「ふふ、面白いね、やっぱり」


「へ?やっぱり?」


「あぁ、ごめん、なんでもないよ」

あれ、会った事あるっけ、こんな人。

一度でも会ってたら絶対忘れないよ?


「そんな見られると照れるね、笑」


「あ、すみませんっ、」

なんか…いい感じなのでは…?私たち…


「俺朔っていうんだ、よろしく。」


「あっ、はい!私は奈弥です!」

「よろしくお願いします!」


まさかこんな事があるなんて、

私の鼓動はずっと速くて、苦しかった。

あの人の笑顔が…声が…ずっとずっと離れない____







「ってことがあったんよ!!!昨日!!!」


「珍しいね〜奈弥が恋バナなんて」

こうやって私の話を聞いてくれているのは親友の莉子ちゃん。少し厳しいとこあるけどどんな話でもちゃんと乗っかってくれる。


「いや、もうあれは運命だね!ほんとにビビッときたんよ!」


「でもあんた昨日星座占い最下位でわめいてたじゃん」


「もー!関係ないよ!とにかくモデルかってくらいイケメンでさあ、」

「今も…会いたいって思っちゃってんの…」


「うわぁ…、完全に恋しちゃってんじゃん!連絡先とかは交換したの?」


「…してない。」


「はあ??じゃあもう会えないじゃん!」


「決めつけないでよ!そんなのわかんないじゃん。運命だったら連絡先なんかなくったって引き寄せられるもん。」


「あのねぇ、現実そんなロマンチックなもんじゃないのよ」


「夢がないなぁ、莉子ちゃんは」


「あんたは夢見すぎなの!」


仕方ないじゃん…だってあんなカッコいい人に声かけられたんだもん。誰だって舞い上がるでしょ!


名前…朔っていってたよね。


会いたいなぁ………


コピーアンドペーストな日々、

それなら今日は昨日と同じシチュエーションになってもらわなきゃ


莉子ちゃんと別れたあと、ここの通りを少し歩いてから角を曲がる。

その先の信号で昨日朔と出会った。


ドクン ドクン ドクン


周りの音を遮断して自分の心臓の音だけが存在する。

もし、また朔がいたらどうしよう。

連絡先聞きたい。

なんで私に話しかけてくれたのかも聞きたい。

何歳?結構若そうだった気がする…


不思議だ…

会ったばかりなのにこんなにも知りたいことがたくさん溢れてくる。


そんな事を考えているうちにいよいよ曲がり角が見えてきた。


そこを曲がれば……

またきっと……




ドックン____



そこには昨日と同じ、何か含みのある笑みを浮かべた朔がいた。








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来世の自分に恋してどうする おかぴー @okapee

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