1学期①

転校生

第2話

「なぁなぁりつ聞いたか!?」




放課後。

1日の最期のHRが終わり、クラスの奴らが帰り支度をする中、俺に駆け寄ってくる虎太郎こたろう


駆け寄るって言っても俺の斜め前の席だからすぐそこ。




「なにを?」




俺が聞き返すとギョッとした顔をしてくる。




「聞いてなかったのかよ!」

「まぁ」

「転校生だよ転校生!!」

「転校生?」




あー、そういえばさっき担任がなんか言ってたな。

全然聞いてなかったけど…。




「そう!明日うちのクラスに転校生が来るんだって!!」

「へぇー」

「興味なし!?転校生なんて学生生活の中であるかないかの一大イベントだろ!どんな奴か楽しみじゃん!」

「期待してるような奴が来るとは限らないだろ。すっげー性格悪くて前の学校でも揉めて転校してきたのかもしれないし」

「おいぃぃぃ!そんな夢のないこと言うなよ!明日までは夢を見させてくれ!」




俺にしがみついて揺さぶる虎太郎。

夢を見るのは自由だけどどんな奴が来ても幻滅したりすんなよ、と付け加えると「おう!」と元気な返事が返ってきた。







それにしても転校生か…。

高校1年の5月の終わりに転校生なんて珍しい。




入学して2か月弱で転校生が来るってことでクラスの奴らも浮足立っている気がする。

いつもより賑やかだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る