第6話:炊飯器がもたらす異世界革命
香り立つ炊きたての白米を前に、光三郎は笑いが止まらなかった。
「異世界でこの白米が味わえるなんて……夢じゃねぇよな!」
スプーンで一口すくい、炊きたてのご飯を口に運ぶ。その瞬間、炊飯器独特のふっくらとした米の甘みが口いっぱいに広がった。
「……最高だ!これだよ、これ!」
だが、冒険者たちがこの白米を無防備に口にするとは限らない。毒や罠を警戒するのが常識の異世界では、見知らぬ食べ物はまず疑われる。それでも、この白米を利用すればダンジョン運営に新たな可能性を生み出せるはずだと光三郎は確信していた。
光三郎は早速ダンジョン内に「炊飯部屋」を設置した。この部屋には山盛りの白米を盛ったテーブルが置かれ、異世界の冒険者たちに「未知の味覚」を提供する仕掛けだ。
炊飯部屋の特徴:
• 白米を食べることで体力が少し回復する効果。
• 部屋には「毒なし」の安全確認用の札を設置。
• 食事後の部屋で強化された罠が発動する仕掛け。
「これで冒険者たちの警戒心を崩し、次の部屋で恐怖を与える計画は完璧だ」
数日後、ダンジョンに新たな冒険者たちが訪れた。今回は三人組のパーティで、それなりに経験豊富そうな冒険者たちだ。
彼らが炊飯部屋にたどり着くと、漂う白米の香りに思わず足を止めた。
「なんだ、この香り……嗅いだことがないぞ」
「飯だとしたら、こんな場所にあるのはおかしいだろ。罠かもしれない」
冒険者たちは警戒しながらも、テーブルの中央に置かれた「毒なし」の札を見つけた。
【安全確認用札】
この食事には毒や危険物質は一切含まれておりません。
――ダンジョンマスター
「罠だと思うが……鑑定スキルで確認してみるか」
冒険者の一人が「鑑定」を発動すると、白米と札には「毒性なし」の結果が表示された。それを見たパーティのリーダーが言った。
「毒がないなら……食べるだけ食べてみるのも悪くないかもな。どうせ消耗してるし」
「まあ……何かあったら俺が責任取る!」
こうして、冒険者たちは警戒を残しつつも白米を一口ずつ口に運んだ。
「……なんだこれ、うまい!こんな食い物、聞いたことがないぞ!」
「普通の飯のはずなのに、噛むたびに甘みが広がる……」
「うますぎる……でもなんでこんな場所に?」
彼らは白米の美味しさに感動し、すっかり気を緩めた様子だった。その反応を、ダンジョン核の近くで見守っていた光三郎はニヤリと笑った。
「ははは!やっぱり白米の力は絶大だな。次の罠に気づく余裕なんてないだろう」
満腹になり満足げに次の部屋へ進む冒険者たち。しかし、その先には強化された罠とゴブリンたちの待ち伏せが待っていた。
食事による満腹感で反応が鈍った冒険者たちは、矢の罠や滑る床に翻弄され、次第に追い詰められていく。
「くそっ、さっきの飯で完全に油断した……!」
「罠だったのか……いや、でも、あれだけうまけりゃ罠でもいいかもな……」
最終的に、冒険者たちはゴブリンに退路を断たれた末に撤退を余儀なくされた。
《侵入者が撤退しました。獲得DP:300》
光三郎はダンジョン核でステータス画面を確認し、笑みを浮かべた。
現在のDP:150
• 獲得:白米による興奮・感動ポイント
• 消費:炊飯部屋設計費(600DP)
「やっぱり白米は最強だな……次は味噌汁セットでも作るか。異世界の奴らに日本の味をフルコースで叩き込んでやる!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます