第5話:強敵登場と現代技術の応用
冒険者たちが撤退した後、光三郎はダンジョン核の近くで腕を組んで考え込んでいた。
「今回のゴブリンでの消耗っぷりはおかしいな……」
光三郎はダンジョンを改めて見直した。すると、冒険者たちの動きを観察しているうちに、彼らがゴブリンに恐怖や不安を感じていたわけではなく、「異質な環境」に圧倒されていたことに気づく。
異世界の住人にとって、光三郎のダンジョンはあまりにも「未知」だった。特にLEDランプの人工的な光は、侵入者の心を揺さぶり、緊張感を増幅させていた。
「つまり……ゴブリンはただの脅威じゃなくて、環境そのものがプレッシャーを与えていたんだな」
光三郎は、これをさらに活かす方法を思いついた。
光三郎はショップリストを開き、そこに「スピーカー(50DP)」があるのを見つけた。説明欄にはこう書かれている。
【スピーカー】
• 現代技術による音響装置。侵入者を混乱させる「異音」を発生可能。
• サウンド効果により恐怖感や興奮を増幅させ、DPを効率的に獲得できる。
「これだ……異世界の連中には、この『音』が何かわからないはずだ。それだけで充分恐怖を与えられる」
光三郎は50DPを消費してスピーカーを購入。次に音源として「ノイズ音(10DP)」を選択した。
「ノイズか……普段ならうるさいだけだけど、異世界人には未知の音だから効果絶大だろう」
光三郎はスピーカーをボス部屋に設置し、ゴブリンたちが現れるタイミングで不気味なノイズ音を再生する仕掛けを作った。高周波の不快な音が部屋全体に響き渡り、侵入者を精神的に追い詰める狙いだ。
さらに、LEDランプの光をスピーカーに合わせて点滅させ、より一層の「異質感」を演出することにした。
「これで準備は万端だ。次の侵入者たちがどう反応するか楽しみだな」
数日後――再び新たな冒険者たちがダンジョンに挑んだ。今回は四人組の中堅パーティ。経験豊富で、装備もしっかりしている。
侵入者たちは慎重に進みながらも、途中の罠やスライムを難なく突破。ゴブリンとの戦闘にもスムーズに対応していた。
だが、彼らがボス部屋に到達した瞬間、スピーカーが作動し、不気味なノイズ音が鳴り響いた。
「な、なんだこの音は!?」
「耳が痛い……魔法か!?」
侵入者たちは耳を押さえ、動揺し始めた。そこにゴブリンたちが襲いかかる。普段なら大した脅威ではないはずのゴブリンが、ノイズ音による混乱と精神的な負担の中で、驚くべき戦果を上げる。
「うわっ、やめろ!この音のせいで集中できない!」
「撤退だ!ここは一度引くしかない!」
冒険者たちはゴブリンに追い立てられる形でボス部屋から退却し、そのままダンジョンから逃げ出した。
《侵入者が撤退しました。獲得DP:200》
「よし!スピーカーが効果抜群だったな……やっぱり現代の技術は偉大だ」
光三郎はステータスを確認し、炊飯器購入の目標まで残り僅かであることを確認した。
現在のDP:550
• 獲得:ノイズ音による恐怖、興奮ポイント
• 消費:スピーカー(50DP)、音源(10DP)
「ついにこの時が来た……炊飯器、ゲットだ!」
光三郎は即座に炊飯器を購入。次の瞬間、ダンジョン核の光の中から現れたのは、馴染み深い家庭用炊飯器だった。付属の米1kgもセットでついてくる。
光三郎は早速炊飯器をダンジョン核の近くに設置し、付属の米を炊き始めた。湯気とともに漂う香りに、光三郎は笑みを浮かべる。
「これだ……異世界人にこの香りと味を教えれば、俺のダンジョンはもっと注目されるに違いない」
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