第3話

「へぇ~、これがビート乱舞か」

「ウチこれ見たことあるわ」 

「これビート乱舞ってゲームだったんか、俺もやったことないけど見たことはあった」


 放課後、俺とユキメさんに加えて4人の男女が、行きつけのゲームセンターに集まっていた。

 

「よーし、みんな! それじゃあ、やってみようか!」

「オッケー! 音ゲーなんて始めてだけど、女子の前でカッコ悪いとこは見せらんねぇし、頑張るぜ!」


 ユキメさんが声を掛けるとあっという間にこの4人が集まり、俺たちと共に放課後ゲームをすることになった。最初、4人はユキメさんの隣に居る俺を不思議そうに見ていたが、特に何を言われるでもなく、こうして一緒にゲームセンターにまで足を運んでいる。


「はっ! 待て! 全然手が追いつかねぇぞ!」

「だっはっは! いきなり上級者向けのやつからプレイするからだろ! やっぱバカだな竹下! つーか動き必至過ぎてキモwww」

「うるせぇぞ三浦! お前もやってみりゃ大変さがわかるんだよ!」


 男子2人はいつの間にゲームを始めて盛り上がっている。


「はっ! ほっ! とやっ!」

「ユキメ、一々声出しすぎw」

「でも竹下よりちゃんとできてるじゃん!」

「ちょっと! プレイ中は声かけないでよ! ミスっちゃうでしょ!」


 ユキメさんは、宣言通りレベル6の楽曲をプレイしている。まだ覚束ない動きだが、どうにか曲に乗ってノーツを処理していた。

 昨日はプレイ中の俺に声をかけてきたユキメさだが、今はクラスメイトに話しかけられてプリプリ怒っている。早くも音ゲーマーの気持ちを理解したようだ。


「ねぇタッキー! こっち来てぇ! やり方分かんない!」

「あ、はい」


 ユキメさんに呼ばれるまま動き出してしまったが、向かった先には当然クラスメイトの女子2人もいる。


「タッキー君これ詳しいの?」

「まあ、はい」

「へぇ、やって見せてよ」

「ちょっと待ってよ! 私まだ一曲しか遊んでないんだから!」

「え? 一回やったら終わりじゃないの?」

「違うよ! ビート乱舞は百円入れたら3曲遊べるの!」

「へぇ~」


 2人にドヤ顔で説明するユキメさんがとても可愛い。自分も昨日知ったばかりの知識だろうに、とても自慢げだった。


「てか、さっきの曲、サビの部分で手が絡まって全然できないんだよ! どうしたらいいか教えてタッキー!」


 ユキメさんは、一生懸命手振りを使って悩んでいる場所を教えてくれる。


「えっと、それなら、サビに入る前あえて手を交差した状態でノーツを取ると良いです。そしたら自ずとユキメさんの言う手が絡まるところでは、逆手で取り直して手の絡まりを解消できます」

「あ、そっか。やってみるー!」


 俺から攻略法を聞いたユキメさんは、早々にゲーム画面に向き直る。

 すると、後ろから声をかけられた。 


「なぁ、滝沢。俺にも教えてくれよ」 


 身長180超えのイケメン、竹下くんが俺を見下ろしていた……。

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ゲーセンでクラスメイトのギャルに絡まれた俺、何故か一緒にゲームをして普通に仲良くなった。 真嶋青 @majima_sei

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