¥4 STYLISHな男のLadies first
窓から差し込む光に思わず笑みがこぼれる――
そんな朝を迎えるのは何年ぶりのことだろうか。
いけないな、慣れの中にこそ悪魔は潜む。
「あら、田中さんお早うございます。これから出勤?」
エレベーターホールで私に声を掛けてきた女性。
遠藤萌依――えんどうもより――
年齢52歳
主婦歴28年
戦闘能力2
口撃力28000
備考 最近、旦那がかまってくれずに色々と持て余して気味。
「お早うございます遠藤さん」
私のアルカイックスマイルに遠藤氏は軽く頬を染める。
「おほほ、相変わらず良い声ね。おばさんうっとりしちゃうわ」
「そうでしょうか? そんなことを言われたのは初めてでなんだか照れますね」
ええ、調べはついています。
貴女がかつて重度のアニオタで現在進行形で手の施しようのない貴腐人でいらっしゃることを。
結婚後も
そして、貴女の娘が声優を目指すと言ったとき、もしかしたら「〇安さまに会えるかも!」と心をときめかせ、反対するご主人を物理的に説得していらっしゃったことを。
だから、私は子〇氏に真似た声で貴女に話しかけたのですよ遠藤萠依さん。
「何言ってるのよ! そんな良い声に気が付かないなんて……って、おほほ、仕事に行く前に引き留めちゃってご免なさいね」
慌ただしく去って行く遠藤氏。
口撃力28000、口火を切れば立ち話は1時間オーバー。
しかし守備力は0。
ええ、牛乳を拭いたぞうきんを洗い忘れた夏休み明けの
愛した声に弱い、それもまた実に愛らしいと言えるでしょう。
本来目立つのは好きではありません。
好きではありませんが、野放しにするよりも味方に付けておいた方が
そう、全ては私の
と、あまり
何せ私、
LADYに掴まる。それも多少の誤差はご愛敬でしょう。
この程度で動じないのが
ま、私日本人ですが。
さて、戯言はここまでとして。
私は今日の主戦場へと向かうのでした。
STYLISH EATER! ――この男、俺SUGEEEEくせに無駄すぎる―― ゆき @yukiyamasnow
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