005
「ただいまー。」
私はリビングに入るなりソファーに寝ころんだ。
「あら、おかえり。今日はどっかで遊んでたの?」
「んー、山崎とイオン寄った。」
「ああ、山崎さんとこのね。」
私はテレビのリモコンを手に取り、チャンネルを次々変える。
「今日の夜ご飯、なに?」
「今日はね、ハンバーグよ。ゆうかが食べたいって言っててね。あ、水筒出しときなさいよ。」
お母さんはそういいながら、ダイニングテーブルにサラダを置いた。
「ハンバーグ! やった! 私もなんか手伝うよ。」
「あら、助かるわ。お茶碗にご飯よそってくれない?」
「うん!」
戸棚を開け、私とお母さんとゆうかのお茶碗を取り出す。
「今日、お父さん家で食べるの?」
「そうね、連絡ないから一応用意しておいてくれる?」
炊飯器の蓋を開け、ご飯をよそう。
「あら、少ないわね。いっつも山盛り食べるのに。」
「今日、アイス食べてきたから。」
「あっ、そういえば裕也君と遊んでたって言ってたわね。デート?」
「デート、なのかな……。」
お母さんは、ハンバーグのソースを煮詰めている。
「うーん。もう高校生だし、デートじゃないの?」
「……告白されちゃった。」
「えっ、そうなの?」
声から察するに、とても驚いている。
「うん。でも美沙が山崎のこと好きなんだ……。」
「ああ、美沙ちゃんね。三角関係ってやつね。それで、どうするの?」
「えっ、どうって……。」
「好きなの? 裕也君のこと。」
お茶碗をテーブルに運んだ。
「別に恋愛対象として見たことはないかな。それに、美沙が……。」
「……美沙ちゃんが好きじゃなかったら、OKしてる?」
私は少し考えた。
「……うーん。わかんない。でもしてたかも。」
「美沙ちゃんを大事に思ってるのは分かるわ。でも、裕也君はあなたを選んだの。それは事実でしょ? 自分の気持ちを友達のために隠すことはないのよ。」
でも、もしこのまま付き合ったら美沙は友達としてはいてくれないだろうな。
「まあ、美沙ちゃんと裕也君が付き合ってるなら別だけど……、このことを言って美沙ちゃんが応援してくれたら本当の友達なのかもね。」
「明日、学校で話してみる。」
「うん。きっと大丈夫よ。」
「ゆうかあー! ごはんできたよー!」
階段を上りながら、ゆうかを呼ぶ。相変わらず出てこない。ヘッドホンで音楽でも聞いているのだろう。
ドアをノックする。
「ゆうかー。」
やっぱりゆうかは音楽を聴いていた。最近ハマっているバンドがいるらしい。あんまり音楽には詳しくないからよく分からないけど。
私は、ゆうかの肩を勢いよく掴んだ。
「うわっ!」
「ごはん!」
ゆうかはヘッドホンを外し一時停止を押す。
「お姉ちゃんかあ。幽霊かと思った……。」
「まだ生きとるわ!」
二人でリビングに向かう。
「お、今日はハンバーグだな。いやあ、間に合ってよかった。」
「ふふ。ゆうかが食べたいって言うから作ったのよ。」
「あ、お父さんだ!」
ゆうかが椅子に腰かける。
「ああ、ただいま。お、あやかもいたのか。」
「うん! おかえり~。」
「
「ちゃんとありますよ~。あなた、ご飯どうする?」
「ああ、大盛りで。悪いないつも。」
お父さんはネクタイを緩め、椅子の背もたれに上着をかけた。
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