自殺女子白書

十五夜 沙介

プロローグ

 自ら命を断つことって、そんなにいけないのでしょうか?

 別に死ぬまで生きる理由がわからない。

 死ぬことよりも辛くて苦しくて泣くくらいじゃ収まらないことなんて、世の中たくさんあるでしょう?

 でもね、私、この間あることに気が付いたんです。

 人って、生まれてくるときは辛くないし苦しくない。

 でも、その命を無理やり取ると苦しいんです。

 あ、つまり私が言いたいことはですね、産まれてくるときは歓迎されてる。家族とかじゃありませんよ。だって産まれてから虐待されちゃう子だっているんですから。

んー……、なんだろう。この世界に?とか言ったら少し辛気臭いですよね。でも、そうは思いませんか?

 逆に、死ぬのはダメって、存在しない誰かに言われてる感じがあるんです。ここだけの話、私も死にたいって思ったことあるし、死のうとしたこともある。

 まだ、全部の自殺方法を試したわけじゃないですけど。でもね、無理やり命を奪うってのは、簡単じゃないし、楽じゃないと思います。

 まあ、安楽死とかよく聞くじゃありませんか。スイスのどっかの団体協会がやってるやつ。あれは、読んで字のごとく、安らかに楽に死ねるってことでしょ? でも、本当にそうなんですかね……。もしかしたらカプセルの中に入って、「ああ、今から死ぬのか」って時に、色々と過去の記憶が思い出され、「ああ、あの時こうしとけば……」とか考えて、「やっぱり死にたくない!」ってせっかく生きようと思えたのに、意識はだんだん遠のいていく……。

 自殺ってだいだい引き返せないことが多い。失敗しない限りは。

えっ、私はどうなのかって?

失敗しましたよ……。意識がなくなっていたはずなのに、急に目が覚めたんですもん。そしたら自分が首を絞めていたことに気がついて……って、あんまり聞きたくないかあ。でも運は良かったと思います。後遺症もなく、こうして皆さんにお話できてるんだし。

 

 ほんと不思議ですよ、今生きてる生き物の中で自ら命を絶つのなんて、人間くらいですから。何なら逆に、賢い生き物だっているのに。

 まあ、他の生き物には悩みとかがないのかもしれませんが。

 言葉があるからなのかな、とか考えますね。

 

 そうそう、だいぶ話が脱線しちゃいました。ごめんなさい。

 まあ、それはさておき、「女子自殺白書」って知っていますか?

 知らない、ですよね……。

 でも実は、皆さんが今手にしているこの本のタイトルなんですよ。

 そう、今からあなたが読むこの本のことです。

 これはね、自殺する六人の女子の書をつづったものなんです。

 あ、それぞれの名前は違いますよ。プライバシーがどうとか……。

 でも、本当にあった話なのか、創作なのか、私は知らされてない……。

 もし仮に本当だとしたら、どうやってここに白書があるのかが説明できなくなっちゃいますから、多分創作だと思いますよ。

 あ、どこかに私の話も収録されているから、楽しみにしといてくださいね。

 一人目はね……、大好きなものに溺れて死のうとする女の子のお話。

 名前はね、あやかちゃんにしときますね。

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