第6話

「は、離してよ!痛いっ!」




私の言葉にハッとした顔をしてやっと掴まれた腕が離れた。




「何であんなことしたの。絢瀬くん痛いよ。」


「っ、あいつが悪ぃ。」




海人くんはそう言ってそこにあったベンチに座った。


「お前も座れよ。」と言われて横に座った。



これが初めての会話だった。




「まだお前一年だし、わかんないと思うけど…絢瀬は やめとけ。」



「やめとけ…?」



「わざと二人になりやがって。お前の姉ちゃんも悪ぃ。」



私には何のことを言ってるのかさっぱり分からない。そして、一つだけ許せないことがある。




「かき氷、勿体なかったんだけど。」



「…あれは、その…お前が悪ぃ。」



何でよ!



「買うから許せ。」



そう言って立ち上がると手を差し出してくれたから、それに応えるように手を伸ばすと今度は優しく手を握ってくれた。




「絢瀬くんにちゃんと謝らないとダメだよ。」



「あいつが悪ぃんだってば。」



「最低だよ。」



「…わぁったよ!謝ればいいんだろっ!」



「絶対だよ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る