これ、友達の話なんだけど
渡貫とゐち
これ、友達の話なんだけど
「これ、友達の話なんだけどさ――」
妹からの相談に耳を傾ける。
今年、高校受験をする妹からの相談だ。当然、そのことだと思っていたが……。
しかし「友達の話」は十中八九、自分のことだ。他人が悩んでいる、ということにして自分が悩んでいることの答え(アドバイス)を聞こうとしている……「自分が悩んでいる」とは、明かしにくいことなのだろうか。
俺になにを相談しようとしてる?
「友達が、どうしたんだって?」
「うん、それがね――――家に住み着いた
「………………ん?」
「だから――――」
「二周目はいい。内容は分かってる……ただ、受け入れられなかっただけで…………えっと? それで、女忍者がうちにいるの? で、お前は一度、男になってるってこと?」
「違うよ! 友達の話だって言ったじゃん!」
「いやいや、相談する時に友達の話って言ったらほとんどが自分のことなんだよ!! お前は俺に、自分の悩みを相談しているようなもんだ! ――で、なんだって!? 女忍者がいてそいつの忍術でチンチンが生えて、男子じゃなく女子が好きになっちゃった女子がお前の友達にいるってことでいいのか!?!?」
「チンチンって言うな!」
「お前が先に言ったんだよ!!」
どうやら本当に友達の話だったみたいだ……なんだよ……って、いや、ガッカリしなくていいのだ。妹がそんな状況になっているというのは、俺では対処ができない。親でも無理だろう。
……妹が聞きたいのは、大きくなったチンチンの鎮め方、らしいけど、そのお友達はチンチンは生えていないけどそういう感覚があるだけで……。
となると、もう心を無にするしかない。お経でも読むとか?
ないなら刺激を与えることもできないわけだし……。
「子種が欲しい、か……その女忍者が受け入れるのか?」
ただ単に、その忍者が運び屋であるだけなのか、それとも子種を貰って、女忍者自身が孕みたいと言っているのかで、状況も変わってくる。
身近なところに百合がある。ガチ百合だ。いや百合……でいいのか? チンチンが生えていたらちょっと違うんじゃないか?
急に成人向けコンテンツになっちゃったよ。
「あ」
「ん? なんだよ、じっと下を見て……」
「兄貴、ちょうどいいから鎮めてよ。心を無にして……お経でも読む?」
いや……頭からキンキンの冷水を浴びた方が確実だな。
了
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