第18話

壮真はいつも最後まで残ってバスケの練習をしている。

優希はそれを体育館の入り口からそっと見ている。

壮真は真剣な表情でドリブルをして、ゴールを決めた。

ボールを持つと壮真は大きく息を吐き出した。

そしてふと入り口の方に目を向ける。

そして優希に気が付いた。

「部活もう終わったの?」

「うん。邪魔してごめんね」

壮真は優希の方に歩いて来た。

そしていきなり優希を抱きしめたのである。


優希は驚きで声も出ない。

練習を熟した壮真の身体はとても熱かった。

優希はまだ今の状況を掴み切れていなかった。

そして壮真はゆっくり優希を離すとその唇に自分の唇を合わせた。

壮真の唇が触れていると分かった時、優希は静かに目を閉じた。


好きの言葉もないまま、壮真と優希は抱き合っていた。

「ごめん、驚かせて…… 」

漸く壮真は優希から離れた。

「ううん」

優希は首を振った。

その時の優希は壮真のキスの意味を全く理解していなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る