第17話

「壮真君が何故芸能界入りを拒むのか分かりました。お母さんの事があるからですね。目の見えないお母さんを置いて芸能界には入れないと…… 」

壮真と父親、それにスカウトマンが喫茶店で話をしていた。

静かで照明も落としてある。

壮真は黙って頷いた。

父親も重苦しい顔をしている。

「私が仕事が忙しいものですから、買い物や出かける時など息子が付き添っているものですから」

「お母さんのサポートは我々も一流のプロを手配します。それでも芸能界に入るのは難しいですか?」

「どうしてそんなに僕に拘るんですか?」

壮真が言った。

「それはあなたがスターになる資質を持っているからです」

男性はきっぱり言った。

「これは持とうとして持てるものではありません。天性のものと言ってもいいでしょう 」

壮真は黙ったまま目を閉じた。

「壮真、大事なのはお前の気持ちだ。よく考えなさい」

「お父さんの仰るようによく考えて下さい。あなたの一生の問題です。2週間後にまたお伺いします」

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