第13話

「普通、高校生の男の子が芸能界の話を聞けば、興味はないにしろ話ぐらいは聞くものだ。だが彼は頭から否定した。何かあるのかもしれない。宮田壮真の事を細かく調べろ」

そして調査の結果、母親が目が見えない事が判明したのである。


「これは……難しくないですか?」

スカウトマンの一人が言った。

「確かに難しいかもしれない。でも俺は諦めない。彼は必ずスターになる」

「どうして、そこまで宮田壮真に拘るのですか?」

「彼の放つ光とオーラだよ。多分彼は学校でも人気が高いはずだ」


「壮ちゃん、本当に興味がないの?」

母親が気遣うように壮真に言った。

「でも、やっぱり壮ちゃんはイケメンだったわね。きっとパパに似たのね」

「俺は母さん似だよ」

壮真の母親は、女優と間違うばかりの美人である。

「母さん。興味はないよ。だからもう言わないで」


優希は美術部の後、体育館を覗いた。

壮真が何かを振り払うようにボールを床に打ち付けていた。

いつもの宮田君じゃない。

何かあったの?

壮真は全く優希に気付いていなかった。

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