第12話

「ねえねえ、今月のクリーミィ見た?」

「見た見た!宮田壮真って超イケメン!」

「宮田壮真って無茶カッコいい!」

7月号のクリーミィが発売された途端に全国の中高生の間で壮真の事が話題沸騰していた。

編集部には芸能プロダクションからの問い合わせの電話が殺到した。


「僕は芸能界に興味はないんです」

自宅まで訪ねて来た芸能プロダクションの男に壮真ははっきりと言った。

「勿体ないですよ。あなたなら間違いなくスターになれます。いや、ウチのプロに入って貰えば確実です」

「すみませんがお引き取り下さい」

「お話だけでも聞いて貰えませんか」

「今日の所はお引き取り下さい」

父親がそう言って男を追い返した。


興味ないわけないじゃないか……

壮真は部屋の中でずっと考えていた。

でも俺には行けない。

母さんを置いて、そんな場所に行けるわけがない。

諦めるしかないんだ。

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