第11話
母親はよく本を読む。
だから壮真は母親が読みたい点字本や本の内容を吹き込んだテープを点字図書館から借りて来る。
母親が読みたい本が点字図書館にない場合、普通の本を図書館で借りて壮真が読んで聞かせていた。
「私は幸せだわ。壮真ほどの孝行息子はいないわ」
ただ本を読むだけなのに、母親はそう言って涙を流す。
壮真は自分が目の見えない母親を持った事を不幸だと思った事は一度もなかった。
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