番外編:北井紘です

『初めまして。二年の如月姫子です。よろしくお願いします。仲良くしてください』


如月姫子?

きさらぎひめこ……。

うーんすごい名前だな。これは普通の子なら名前負け確実だよな。でも、きょんから初めて女の子紹介されたし、可愛いんだろうな。


“お前の好きそうな可愛くて無愛想な女の子見つけてきた!”

って嬉しそうに話すもんだから、きょんが言うならって引き受けたけど。


正直会った事もない女の子とメッセージするなんて、初めての経験だしちょっと楽しかったりもするけど。だって、同じ校舎の中にいるのに、会ったことがなくて、でもメッセージしてるなんて、なんかドキドキするよね。


二年一組に如月さんを迎えに行くと、扉の陰からこそこそと伺うように出てきた。

ああ、なるほど。可愛い。

でも、この綺麗な見た目は絶対きょんの好みだよな。まぁ、俺も綺麗な子は好きだけど。


彼女と渡り廊下に行くと、そわそわとしながら地面に座った。

ああ、髪綺麗。女の子のこういうところって、やっぱいい。触りたいって思う。


「如月さんってなんか部活とかしてんの?」

「いや、帰宅部です」

「運動とかは好きじゃないの?」

「うーん嫌いじゃないですけど、好きでもないです」


この子って人見知りなのか、照れ屋なのか、それともただの無愛想なのか分かんないな。見た目と名前から言って、すごく女の子らしいのかと思ったら、すごいギャップ。こういう子の方が楽でいいけど。


「き、北井さんって好きな人いるんですか?」


いきなり顔を赤らめて、話の流れもそっちのけで聞いてきた。

おお、びっくりした。

如月さんって俺の事好きなの?

いや、でも分かんない、違うかも。


「いないけど、…………どうして?」

「別に理由はないですけど、何となく気になっただけです」


この子って、何考えているか分からないな。なんか面白い。どっちなのか全然分からない。


なぁ、きょん。

お前絶対この子の事好きだろ。もろお前のタイプじゃん。

知らねぇぞ、俺遠慮しないからな。


END

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