第6話
ひそひそ、と声を潜め何かを囁き合いながら、わたしと同じ制服の女の子達が隣を通り過ぎた。
新興住宅が続くこの道を真っすぐに進み、大きな交差点を過ぎれば、間もなくしてわたしと透也の通う高校に行き着く。
はっと我に返ったわたしは、歩調を緩めた。自然と、透也の後ろの並ぶ形になる。
――わたしは、透也と並んで歩いてはいけない人間だから。
そんな些細なわたしの行動すら、敏感な透也は見過ごさない。
そして、あきれたようなため息とともに後ろを振り返る。
「お前、また卑屈になってんの? そういうの、気にすんなって言ってんだろ」
「気にするよ。だって、透也には瑞樹(みずき)さんがいるし」
「関係ねえよ。お前とは、男友達みたいなもんじゃん。それとも、俺のこと実は好きだったりする?」
気持ちの沈んでいるわたしを励ますように、冗談めかして透也は笑う。こんな時は、いつもそうだ。
―――透也は、優しい。
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