第2話

「あわわわわわっ!クロミツ!バスケット戻って!」

焦ってクロミツに指示を出した。

クロミツは賢くバスケットの中に入っていく。

「いい子だね〜」

使ったテントをしまいながらふと,空を見た。

夜に光り輝く流れ星。

「なんか多いなー。なんでだろう…」

あまりにも多すぎる流れ星。

びっくりする。観測史上“初”だ。

「よし。テントはオッケー…」

そう言ってリュックと今の今までタイムプラスを取っていたスマホ,バスケットを手に持つ(リュックは背負ってるからね!)

小川を見ると,やっぱり可愛い女の子が浮いている。

置いて行こうかな…そうだよ…私は関係ないんだし…

そう思ったところでハッとなった。

ダメダメダメェェッ!

こんなこと考えちゃダメだよ!

私は宇宙。宙野宇宙だぞ!

小川に足をつけると,草木が当たってくすぐったい。

「よいしょっと」

リュックをお腹に回して,女の子を背中に背負う。

いやはや。まるでこれ,私ユーカイハンに見えてない?

いやいや!夜なんだし,人も少ないでしょ!

流石にね…もう深夜1時だもん…!

そう自分が警察のご迷惑にならないよう願いながら走って家に帰った。


帰ったら真っ先に女の子をソファーに寝かす。

それからクロミツを出してあげる。

「あのぉ。大丈夫ですか〜?私の声,聞こえますか?」

ゆっくりと声をかけると,彼女のまぶたがぴくりと動いた。

「よかった!生きてる!」

って,心臓を確認したらわかるか。

改めて,女の子の見た目を観察する。

星のカチューシャ。紺色の髪。水色のレースに紫の肩出しワンピース。

うっわぁ。美人さんだぁ。

思わず見惚れちゃうや。

「うぅっ…」

「あっ!」

私のじっと見つめる視線で起きちゃったのかな?女の子が目を覚ました。

「えっと…だ,大丈夫ですか⁉︎」

ヤバ。張り切っておっきな声出ちゃった…変な人って思われたかなぁ。

「えっと…その…ボク…どうして…」

あっ。女の子,自分のことボクって呼ぶんだ。

以外。私,この子絶対わたくしとか言うと思った…

「よ,よろしくね!私,宙野ちゅうの宇宙そら!夜空国立学園初等部5年3組22番!」

「あ…ぼ,ボクは…宇宙地そらちほたるです…」

私と…えっと蛍ちゃんが自己紹介を終える。

宇宙地…蛍…

あんまり聞かない名前だな…

「実はね,今日の夜,天体観測をしてたら,蛍ちゃんが落ちてきて…あの!どうしたの?飛行機でも落ちた?」

いや。そんなはずない。なんたって飛行機が落ちたら,もっと大騒ぎしてるもんね。

「そうだ…ボク…逃げて…」

「逃げて?」

不穏な言葉に首を傾げる。

蛍ちゃんは震えた目でこちらを見た。

「ボク,宇宙の方の世界の住人なんですけど…偉い大人たちが言っていたのを聴いちゃて…」

嫌な予感がする。

だって蛍ちゃん,顔青いし,体も少し震えてる。

「あんなキケンでヤバンでキタナイ星なんて,さっさと消しちゃおう…って言ってたんです」

「ウソ…それが地球…?」

蛍ちゃんはコクンと頷いた。

消す。そんなのって…

「ボクは地球が好きだったのでやめてくださいって言ってたんです…けど…今度はボクの力を使ってやらないといけないから捕まえろって言ってきて…だからここまで…逃げてきたんです…」

蛍ちゃんの言葉は弱々しくなっていく。

「どうすればいいの?私,地球が消えちゃうなんて…」

「なんとかする方法はあります…」

「えっ⁉︎なになに⁉︎」

思わず前のめりになった。

「宇宙の方の偉い人たちを説得するんです。自分の星を守りたいって言う気持ちを,力ずくでもわかってもらうんです…」

「よし!頑張る!できる気がする!

そうだ!蛍ちゃん,行くトコないでしょ?うちにおいでよ!

私が蛍ちゃんを守りながら生活していこっ!その蛍ちゃんが言ったことはいつかやるってことで!」

ちょっと強引に押し込んじゃう。だってなんとかする方法もあるんだし!

難しいこと考えないで,明るくいこーっ!


と,言うわけでベットに2人で寝っ転がる。

「蛍ちゃん…あれれっ?もう寝ちゃった」

あまりの寝つきの良さにクスッと笑って,私も布団を被る。

それから出窓を見た。

眩しい流れ星が,今もなお続いていたんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

宇宙と共に!⭐︎1.夜空に届け!私の役目! Veroki-Kika @Veroki-Kika

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ